専門店チェーン、セレクトショップの2月度(既存店ベース)は、月半ばからの気温上昇に伴って客足も回復し、春物が売れ始めたといった声が広がっている。2020年がうるう年だったこともあって大幅伸長したという企業はなく、ここ数年絶好調なワークマンも17年9月ぶりに前年実績を割り込んだ。ただし、もともと2月はファッション販売の谷間の時期であり、今年はそこに緊急事態宣言も重なっている。「ユニクロ(UNIQLO)」「ファッションセンターしまむら」などは、そんな難しい状況下でも着実な売り上げを築いた。
ユニクロの実店舗とECの合計売上高は前年同月比0.4%増。外出減などの影響で客数は0.3%減となったが、「中旬以降、春物がよく動いた。ジャケットなどの羽織り物、ワッフル素材やサイドスリットのカットソートップスなどが売れ筋」という。ラウンジウエアやワンマイルウエアも引き続き好調で、スエット類やアクティブパンツも売れている。2020年9月~21年2月の累計既存店売り上げは、前年同期比5.6%増で着地した。
「ファッションセンターしまむら」のECを含む既存店売上高(1月21日~2月20日)は、同2.2%増だった。2ケタ増も珍しくなかったコロナ禍以降の数カ月間と比べるとやや勢いが落ちたようにも感じるが、「中旬以降の気温上昇でウィメンズのカジュアルシャツやカーディガンなどの春物と、イエナカ需要でリラクシングウエアやスポーツウエアが売れた」という声はユニクロと共通している。
「無印良品」の直営既存店とECの合計売上高は、前年同月比26.9%増と前月に続き大幅な伸び。キッチン用品などの生活雑貨やレトルトカレーなどの食品がけん引している。ただし、衣服・雑貨に限ると同2.6%減。1月中旬に開始した家具の月額定額サービスも「新生活需要を背景に順調な推移」という。
ワークマンは同3.7%減で、前年実績を割り込むのは3年5カ月ぶり。「月を通じて気温が高く、例年の売れ筋である防寒衣料やウィンドブレーカーが低調だったが、春物のワーキングウエアやトレーニングウエアの立ち上がりは順調だった」という。
アダストリアの既存店売上高は同9.6%減。春物が動き出したことで、同20.0%減だった前月に比べると回復してきた。「特に最終週は、『せっかく出かけたからには買おう』というようなまとめ買いも多く見られた」という。売れ筋はリラックスシルエットのパーカやシャツなど。一方で、「きれいめジャケットやオケージョンシーン向けのセットアップなどもちらほら上位ランキングに入るようになってきた」。
ユナイテッドアローズの実店舗とECの合計売上高は同18.1%減と、アダストリアと同様に25.5%減だった前月からは回復している。売れ筋はシャツやカットソートップス、ウエストがドローストリングのパンツなど。