2015年にアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)がクリエイティブ・ディレクターに就任して以来、ブランドの刷新を行って破竹の勢いで成長してきた「グッチ(GUCCI)」神話に陰りが見えている。新型コロナウイルスによるパンデミックの影響は決して小さくないが、競合ブランドに比べると明らかに回復が遅れているようだ。親会社ケリング(KERING)の決算会見から、その原因と今後の方向性を探る。(この記事はWWDジャパン2021年3月1日号からの抜粋です)
2020年10〜12月期(第4四半期)の「グッチ」の売上高は前年同期比13.5%減の22億8060万ユーロ(約2896億円)だった。グループの大黒柱の直近の前年同期比が、7〜9月期(同12.0%減)よりも割り込む結果となったことが影響し、決算発表当日のケリングの株価終値は前日から7.1%値下がりした。
コロナ禍でロックダウンした都市もあったことを鑑みれば、前年同期の実績を割り込むことは当然かもしれない。しかし、先に決算を発表したライバルのLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン (LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)は、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」や「ディオール(DIOR)」がけん引し、ファッション・レザーグッズ部門の10~12月期の売上高は同14.2%増の72億7300万ユーロ(約9236億円)と2ケタ増をマーク。同9.1%増だった7~9月期を大幅に上回る成長率だったことを考えると、「グッチ」の苦戦ぶりが際立つ。なお、エルメス(HERMES)も10〜12月期は同12.3%増だった。
バロック風かつ両性具有なコレクションでミレニアル世代の共感を集めた「グッチ」の求心力が落ちているのだろうか?10〜12月期は地域別では、日本を除くアジア太平洋地域は中国と台湾がけん引して同8%増、北米も同13%増だったものの、西欧は同45%減、日本は同20%減だった。
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