SISIが展開する新クリーンビューティスキンケアブランド「シシ(SISI)」から今年1月、第1弾製品として“はがさないマスク”の「ロザリティ ウォータリーマスク」(50g、6400円)が誕生した。同製品は公式発売に先駆けてクラウドファンディングサービスのマクアケ(Makuake)で先行販売し、開始わずか15分で目標金額30万円を達成。達成率949%の284万9140円でプロジェクトを終了した。そして2月24日、同社はネイチャーラボとサティス製薬、個人投資家などから総額1億円の資金調達を実施。これによりマーケティングの強化、ユーザーニーズに応える新商品の開発、新サービスの投資、事業展開に向けた採用強化を推進する。いま勢いのあるSISIの澤田実加代表にクラウドファンディング早期達成の理由やスピード感のあるもの作り、今後の展開について聞いた。
WWD:第1弾製品「シシ」は、基本処方が完成してわずか 6 カ月でプレローンチするスピード感。開発の経緯は?
澤田実加SISI代表(以下、澤田):いいプロダクト作りの条件はチームに良い開発者がいること。そのため請負型のOEMではなく、パートナーシップという形で開発者を巻き込めるようなチーム編成を組んでいるため、スピード感を持ちながら肌への本質的な効果としての有効性、使いやすさ即時的な効果実感という意味での機能性、毎日使い続けたくなる嗜好性を兼ね備えたもの作りができる。また、開発だけが頑張ってもビジネスサイドの意思決定が遅くてローンチが遅れることも起こりやすい。そのため、ビジネスの意思決定をスムーズに行うようにしっかりとユーザー感覚のある少人数ビジネスチームを編成している。
WWD:なぜ第1弾製品は“はがさないマスク”に?
澤田:世の中に飽和しているクリームや乳液などのカテゴリーを新ブランドから出しても、ユーザーにとっては選択肢が多すぎてわざわざ使う理由が見い出しにくい。そして現代女性にとっては、ブランドが製品の使い方を定義するよりも、ライフスタイルや肌質に合わせた使い方の幅があることがとても重要だと思った。普段のスキンケアにプラスしたり、スリーピングマスク使いしたり、疲れたときはオールインワンでも対応できたり。塗るタイプの美容マスクは競合製品が少なく新規性がまだまだあると考えている。いま、スキンケアが毎日の義務的なルーティンから楽しむものへと意識が変わっている理由もあり、美容マスクの需要が伸びている。一方、忙しい女性にとっては毎日シートマスクをするたった15分が取れないという課題も。当社はそんな悩みを、プロダクトを通じて解決していきたい。
WWD:「ロザリティ ウォータリーマスク」のキー成分である “Rosality”の特徴、開発のこだわりや苦労点は。
澤田:この商品は世界のエキスパートが集結し、現代ストレスと肌の関係に着目して開発したレスキューアイテム。ローズの香り成分を、効果をもたらす機能性成分に変革した“Rosality”を配合している。チャレンジした点は、みずみずしい感触でありながら保湿感をキープする製品へと仕上げたこと。保湿感を求めるとベタつきが気になる一方、軽すぎると冬場は物足りない。朝も夜も、夏も冬もどんな肌質でも気持ちよく使えてしっかり潤う商品を目指した。
WWD:なぜクラウドファンディング(マクアケ)を活用したのか。早期達成した理由は。
澤田:クラウドファンディングを選んだ理由は2つある。1つ目は、公式販売前にプロダクトマーケットフィット(PMF)を確認したかったから。時代に合った良いものを作っている自負がありつつも、店頭販売ではないD2C の新ブランドは最初の1個を買ってもらうことが大変であるということも痛感していた。コミュニケーションがお客さまに伝わるか、どんな層が興味を持ってくれるかを確認したかった。2つ目は、クラウドファンディングで化粧品を取り扱えるようになったこと。数ある化粧品の中で早期にオピニオンリーダーに注目してもらえるようにPR視点でクラウドファンディングを活用した。クラウドファンディングが成功した理由は、初日の売上目標を高く設定して何が何でも初速をつけることに注力したから。マクアケと注目されているD2Cブランドとの合同イベント実施やビジネスメディアへの寄稿を含め、精力的にPR 活動を行なった。そういった入念な準備が非常に大事。そして、なによりも支援してくれるお客さまがいたからに尽きる。
WWD:ブランドの今後の展開について。
澤田:「自分を思い大切にする習慣をつくるブランド」の「シシ」は、美容を基軸にしながらプロダクトを通じてお客さまの日々の悩みに寄り添える製品展開をしていく。あえて製品のラインアップを持たず、一つ一つのアイテムに個性があるユニークなパワーアイテムを展開していくブランド作りをしていきたいと考えている。そして今の時代に必要とされている製品をスピード感を持って届け、製品だけでなくブランドのファンになってくれるお客さまを増やす。お客さまとリアルで会えるポップアップも今後やっていきたい。