ファッション
連載 齊藤孝浩の業界のミカタ

最終黒字で着地したH&Mの強さと課題【齊藤孝浩のファッション業界のミカタVol.23】

有料会員限定記事

 企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はコロナ禍で体質改善のスピードアップを図るH&Mの決算を解説します。(この記事はWWDジャパン2021年3月8日号からの抜粋です)

 今回はSPA企業としてはインディテックスに次いで売上高世界ナンバー2のH&Mの2020年11月期決算を解説します。

 まず概要としては、売上高が前期比19.6%減で、営業利益は同89.7%減という厳しい状態でした。四半期別に見ると、実は第1四半期(12〜2月期)は悪くなかったんです。課題の改善が進み始めていたので、営業利益も増えていました。課題というのは 5月13日号と6月13日号でも取り上げたように、出店優先で販売効率の悪い店舗が増え、在庫が重くなっているところや、デジタルに乗り遅れているというところでした。その辺りの体質改善を始めていたのですが、感染が世界的に広がった第2四半期(3〜5月期)は赤字に転落。アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、スペインといった売り上げ上位国の落ち込みが大きかったのが打撃になりました。

 とはいえ彼らのすごいところは、最終的に黒字にしたことです。第3四半期(6〜8月期)以降は、仕入れやコストを徹底的にコントロールしてわずかですが通期で利益を出しました。どこをどうコントロールしたのかを決算書から読み解いてみましょう。

この続きを読むには…
残り2641⽂字, 画像3枚
この記事は、有料会員限定記事です。
紙版を定期購読中の方も閲覧することができます。
定期購読についてはこちらからご確認ください。

関連タグの最新記事

最新号紹介

WWDJAPAN Weekly

2025年春夏ウィメンズリアルトレンド特集 もっと軽やかに、華やかに【WWDJAPAN BEAUTY付録:2024年下半期ベストコスメ発表】

百貨店、ファッションビルブランド、セレクトショップの2025年春夏の打ち出しが出そろった。ここ数年はベーシック回帰の流れが強かった国内リアルクローズ市場は、海外ランウエイを席巻した「ボーホー×ロマンチック」なムードに呼応し、今季は一気に華やかさを取り戻しそうな気配です。ただ、例年ますます厳しさを増す夏の暑さの中で、商品企画やMDの見直しも急務となっています。

詳細/購入はこちら

CONNECT WITH US モーニングダイジェスト
最新の業界ニュースを毎朝解説

前日のダイジェスト、読むべき業界ニュースを記者が選定し、解説を添えて毎朝お届けします(月曜〜金曜の平日配信、祝日・年末年始を除く)。 記事のアクセスランキングや週刊誌「WWDJAPAN Weekly」最新号も確認できます。

ご登録いただくと弊社のプライバシーポリシーに同意したことになります。 This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

メルマガ会員の登録が完了しました。