カメラの向こうにいる大勢の視聴者に商品の魅力を伝えてきた先駆者が、ジャパネットたかた創業者の髙田明氏である。2015年に社長を退任し、MCも引退した髙田氏だが、あの個性的な声とトークは今もたくさんの人の耳に残っており、テレビ通販の顔としての存在感に変わりはない。ライブコマースに限らず、オンライン会議などによって画面越しのコミュニケーションが当たり前になる中、「伝える」ことの大切さを聞いた。(この記事はWWDジャパン2021年3月8日号からの抜粋です)
WWDジャパン(以下、WWD):画面越しに見えない相手とコミュニケーションをとる秘訣はありますか。
髙田明(以下、髙田):対面でもオンラインでも変わりません。僕はラジオ通販から始まって、テレビ、カタログ、インターネットと全部やってきましたし、通販番組以外でも社内外のさまざまな場面で話す機会がありました。そこでいえるのは、何をどう話すといった小手先のテクニックではなく、思いを伝えたいという強い気持ちがないと相手の胸には響かないという事実です。
WWD:気持ちはテクニックに勝ると。
髙田:もう少し具体的に助言するなら、伝えたい内容をちゃんと理解しておくことです。時々テレビやラジオの通販の関係者から、うまくいかないと相談を受けます。私は逆に「インプットしていますか」と尋ねます。(通販番組で)100のアウトプットを行いたいから、100のインプットで十分と考える人がいる。そうではなくて200、300のインプットを準備しておく人もいる。この差は決定的です。番組で全て話す話さないは別にして、商品の特徴はもちろん、その商品をどこでどんな人たちがどんな気持ちで作ったのか、知り尽くしておくことが必要です。話し手が十二分に理解して確信をもって話していれば、表情だって説得力を帯びてくるものです。自分を確実に高めていく姿勢があるかどうかで明暗が分かれます。
WWD:テレビ通販やライブコマースだけでなく、あらゆる場面にいえることですね。
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