ドイツのシューズブランド「ビルケンシュトック(BIRKENSTOCK)」は、投資会社Lキャタルトン(L CATTERTON)とフィナンシエール アガシュ(FINANCIERE AGACHE)に過半数株式を売却することを2月26日に発表したが、今後はどのように発展していくのだろうか。業界アナリストや市場関係者の予想を紹介する。
Lキャタルトンは米投資会社キャタルトン(CATTERTON)とLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)、そしてベルナール・アルノー(Bernard Arnault)LVMH会長兼最高経営責任者(CEO)一族の持ち株会社グループ アルノー(GROUPE ARNAULT)が共同で2016年に設立。運用資産は220億ドル(約2兆3320億円)程度で、サンフランシスコ発のオンラインSPAブランド「エバーレーン(EVERLANE)」や日本のミネラルコスメ「エトヴォス(ETVOS)」など、多数のブランドに投資している。フィナンシエール アガシュも、やはりアルノー家の投資会社だ。
かつてLVMHのM&A部門ディレクターを務め、現在は英投資顧問会社スタンホープ・キャピタル(STANHOPE CAPITAL)のマーチャントバンキング部門共同ヘッドとして活躍するピエール・マルヴェイ(Pierre Mallevays)は、「アルノー会長兼CEOが率いるLVMHとLキャタルトンは、いずれもブランド価値を注意深く育て、ブランドを成功させる手腕に長けている。『ビルケンシュトック』に関しても、ブランドポジショニングをより明確にしたり販売チャネルを強化したりして、その成長を支援するだろう」と語った。
「ビルケンシュトック」は、1774年にヨハン・アダム・ビルケンシュトック(Johann Adam Birkenstock)が教会の公文書に「臣民の靴職人」と登録されたことを起源とする、250年近い歴史を持つシューズブランドだ。1896年には柔軟性のあるインソールを発売し、その後も医療用サンダルなど足の健康を守る機能性や履きやすさを重視した商品を主力としている。しかしここ数年は、「リック・オウエンス(RICK OWENS)」や「ヴァレンティノ(VALENTINO)」とコラボレーションをしたり、パリ・ファッション・ウイークでコレクションイベントを開催したり、キャンペーンのモデルに“シューズ界の王様”と呼ばれるマノロ・ブラニク(Manolo Blahnik)を起用したりと、そのファッション性を強めている。
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