大丸松坂屋百貨店は12日、婦人衣料品レンタルのサブスクリプションサービス「アナザーアドレス(ANOTHERADDRESS)」をスタートし、公式ウェブサイトを公開した。
スタート時点での参加ブランドは50。「メゾン マルジェラ(MAISON MARGIELA」「マルニ(MARNI)」「MSGM」などの海外コンテンポラリーブランドから「アドーア(ADORE)」「ベイジ,(BEIGE,)」「ジルスチュアート(JILL STUART)」などベターゾーンの婦人服までをラインアップ。百貨店ならではの豊富な商品量を生かしたウェブ完結型のサービスで、9割以上のブランドが国内の衣料品レンタルサービスでは初めての取り扱いとなる。サイズもS・M・Lを用意する。価格は月額1万1880円(税込)で、1カ月あたり3着までのレンタルが可能。納品・返却における送料やクリーニング費用も含まれ、気に入らなかった場合は返品や交換もできる。会員価格での購入も可能だ。
同社は中長期的な展望として、リアル店舗とウェブ上のサービスの互恵関係を築く「OMOの推進」と、それに関わる「新たな事業開発」を掲げる。「アナザーアドレス」はその皮切りとなるサービスだ。オフラインとは異なるタッチポイントを形成し、低迷が続く婦人服フロアにおいて新客の呼び水とする。「バブル期を経て、ファッションの魅力や人をエンパワメントする力がどんどん小さくなっている。まずはレンタルで気軽に服を手に取っていただき、本当に気に入ったものは店舗でご購入いただくという循環を作っていきたい」と澤田太郎・大丸松坂屋百貨店社長。また同サービスでは、1着の洋服を複数の利用客がシェアすることで、単に売るよりも得られるフィードバックは大きくなる。これを活用することで、「取引先のよりよい売り場やモノ作りにも役立てていただきたい」とする。
田端竜也・DX推進部アナザーアドレス事業責任者は、「当社はEC黎明期に『服は見て、触れて買うものだ』と考えて軽視したことで時代の波に乗り遅れてしまった」と反省し、「サブスクリプションとシェアリングを次の大きな潮流と捉え、この分野でナンバーワンのプラットフォームを構築したい」と話す。サービスの規模は5年後に売上高55億円、アクティブ会員3万人、在庫は20万着の規模を目指し、海外ラグジュアリーブランドの取り扱いも視野に入れているという。