「アンリアレイジ(ANREALAGE)」は、「ピッタマスク(PITTA MASK)」との初コラボマスク“アンリアレイジ × ピッタマスク パッチワークマスク(ANREALAGE × PITTA MASK PATCHWORK MASK)”を2021-22年秋冬パリ・コレクションで3月8日に発表した。「ピッタマスク」がパリコレに登場するのは今回が初めて。
コラボマスク(非売品)は、昨年発売して人気を博した“パッチワークマスク”をベースに3型製作。コレクションのカラーリングに合わせたブルー × イエロー × カーキ × ベージュの配色や、ダークトーンのブラック × グレー × ネイビー、ベージュのワントーンを提案した。森永邦彦デザイナーは「21年春夏コレクションを発表したとき、ファッションを通して人を守りたいという気持ちがより強くなった。マスクは販売していたが、これまで使用したことのないポリウレタンで“パッチワークマスク”に挑戦しようと思ったのがきっかけ」と話した。「同じ素材をつなぎ合わせ、日常をつなぐという意味合いを込めている。ポリウレタン特有の縫いにくさに加え、防護性の観点から二重にして作ったら大変で、一つに8時間を費やした」と達成感に溢れながらも苦笑いを浮かべた。
「ピッタマスク」を選んだ理由については、「19年春夏、東京コレクションの会場で『ピッタマスク』を配布して頂いたのをきっかけに交流が深まりました。当時はマスクを着ける文化がなく、黒のマスクですら抵抗がありました。当時は非日常だったことが、現在は日常になっていることが、『アンリアレイジ』のブランドコンセプトにマッチしていると感じ、コラボさせていただいた。今後はさらに、マスクを含めたトータルコーディネートの提案をするブランドが増えると思う」と語った。
2021-22年秋冬パリコレクション
「東京コレクションのリベンジマッチ」
WWD:コレクションテーマ“GROUND”に込めた想いとは?
森永邦彦デザイナー(以下、森永):デジタルコレクションにより失われたものを表現しました。映像は綺麗だし、しっかりとした意図は伝わるけれど、本来誰しもが感じる重量はまったく感じ取れないことに気付いたんです。それを逆手に取り、あえて画面の中で重力を感じさせるようなコレクションを作りました。スクリーンで見るものは二次元なので、上下左右はあっても、三次元の天地という概念はありません。当たり前だった重力のルールを壊し、それに合わせて服作りのルールも壊して表現しました。
WWD:着想源はどこから?
森永:2011年春夏東京コレクションを発表したとき、当初は今回のように重力を壊したショーを考えていました。クレーンで人を宙吊りにしたり、人を宙吊りにできるマジシャンにお願いしたりしましたが、実現できませんでした。あの時の悔しさがずっと心に残り、空間自体を反転させれば、思い描いていたことができるかなと思い制作しました。今回発表したリンゴのニットは、10年前に製作したものなんです。
WWD:制作時間はどのくらい?
森永:逆転空間と通常の空間を作ったので、朝から深夜まで撮影しました。その後24時間編集したのですが、映像が全て逆なので僕も酔ってしまいました(笑)。
WWD:ショーの後、リアルな声を聞けない環境が続いている。
森永:見ている人が何かにつまずくような違和感を作り出し、実物を見に来ていただくことが狙いではあります。フィジカルとデジタルはどちらが良いではなく共存するもの。今回のコレクションのように、現実の世界では絶対に交わらないことも、今の時代では実現できます。とはいえ、僕はパリでフィジカルなショーをしたいです。誰でもデジタルでコレクションを発表できる環境になることで、これまで閉ざされていた世界の価値が高まるのではと思います。時間は掛かると思いますが、ファッションの魅力の一つであることは間違いありません。
WWD:デジタル上のパリコレで発表する意味は?
森永:今回はパリの公式スケジュール内で発表しなくても良いかなと考えていました。けれどパリという舞台に特別な感情を抱いている自分がいて踏み止まったんです。その正体は謎なんですけれどね(笑)。
WWD:同じタイミングで、「ビューティフルピープル」もウエアを反転させていましたね(笑)。
森永:21年春夏もホームウエアという大きなテーマで被っているんですよね(笑)。僕らは“HOME”で、「ビューティフルピープル」は家の中の物を着るというテーマでした。
WWD:今回もテーマが被った時の心境は(笑)?
森永:熊切さんらしいなと思いましたよ。