日本のフラッシュセール最大手企業のラベルヴィー(LA BELLE VIE)が注目を集めている。同社は「グラッド(GLADD)」「ギルト(GILT)」という2大フラッシュセールサイトを擁し、サービス開始の2009年以来、「会員限定」「短期集中販売」「在庫運用」という機能を磨き続けてきた。コロナ禍がファッション産業にも大きな影響を与える中、こうした機能が評価され、ここに来て再び同社の存在がクローズアップ。独自に開発したオンラインファミリーセールサービス「ホワイトレーベル」も、ハイレベルなセキュリティや工数の削減などが評価され、急速に導入企業が増えている。
名実共に日本ナンバーワンの
フラッシュセール企業
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「グラッド」の会員数は約300万人、「ギルト」が約270万人。共に日本でのサービス開始は2009年で、ブランド価値を維持しながら短期間で売り上げるノウハウを蓄積している。18年9月に本社機能、11月に物流拠点、そして12月末に法人を統一。名実共に日本ナンバーワンのフラッシュセールサイトになった。
カテゴリーの幅広い「グラッド」、ラグジュアリーに強い「ギルト」の両サイトを有しているため、高級ブランドや幅広いターゲットから人気を集めるブランドぞろえ、取り扱いアイテムもアパレル、アクセサリー、家具・インテリア、食品、日用雑貨、旅行まで幅広い。販売したいブランド側にとってはブランドやアイテムによって、両サイトを使い分けることができる。
委託から在庫連携、
買い取りまで
取引形態はいろいろ
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「グラッド」「ギルト」ともにブランドとの取引形態はバリエーションが広がっている。ブランド側の要望に応じて、期間を限定して販売委託する「販売委託」、ECのシステム上で連携する「在庫連携」、すぐに現金化できる「買い取り」など、取引形態はさまざまだ。ブランド側は、在庫を自分たちの状況で決められる。
会員制フラッシュセールがルーツではあるが、現在はセミクローズド形式だけでなく、短期間でより効率的に販売するための、さまざまなノウハウを蓄積。ブランドや商品カテゴリー、在庫のシーズン性など、アイテムの特性に応じて多角的にアプローチでき、ベストなソリューションを提案している。
ファミセをオンライン化する
「ホワイトレーベル」で
手間と工数を激減、
売り上げは倍増
ラベルヴィーのファミリーセールに特化したサービス「ホワイトレーベル」が伸びている。フラッシュセールで培ってきた「会員制」「期間限定」「在庫運用」といったノウハウをベースに、ハイレベルなセキュリティーや個人情報の取り扱いにも対応する同サービスは、コロナ禍でリアルイベントが難しくなる中で、外資系の有力ブランドの導入も相次ぎ、急速に広がっている。現在は外資系ブランドや国内の大手セレクトショップなど30社が導入している。導入拡大の背景を香取純一ラベルヴィー共同CEOは「サービス自体は5年前から展開してきたが、昨年3月以降、問い合わせが急増している。ファミリーセールはこれまで実は多くの手間と工数、人員を必要としていたが、『ホワイトレーベル』を使えばかなり削減できる一方、ほとんどのケースで売り上げは1.5〜2倍に増えている」と語る。
「ホワイトレーベル」の最大のポイントは、手間と工数の圧倒的な削減だ(図参照)。会場の手配などを含めると最大で2カ月前から準備していたファミリーセールは、最短でわずか2〜3週間まで準備期間を短縮できる。渡辺サブリナ=ラベルヴィー共同CEOは「ブランドが年に数回だけのファミリーセールの運用を改善するには限界がある。とはいえハイレベルなセキュリティと個人情報の取り扱いや、ベストなタイミングでの告知や登録、販売面の細かな気配りなど求められる機能やサービスに関しては、かなりのクオリティーとノウハウが必要。『ホワイトレーベル』には在庫運用のプロフェッショナルとして培ってきた多くのノウハウが凝縮されている」という。
ハイレベルなセキュリティや
個人情報の取り扱いにも対応
導入企業の多くがサービスを継続して利用しており、「ほぼ全てのケースで購入者数と購入単価のアップ率は際立って高くなっている。一つ強調しておきたいのは、『ホワイトレーベル』の導入で、これまでブランドがファミリーセールを自社で開催する際にコストとして可視化しづらかった運営関係者の人件費や手間を削減でき、在庫をより効率的に運用できるという点。経営側のメリットも大きい」(渡辺共同CEO)。また、「当社が最重要視しているのは、効率的な在庫運用をすることで、ファッション産業のサステナビリティに貢献すること。在庫のライフサイクル全体の効率化は、大量生産・大量廃棄が大きな課題となる中で、ブランドが成長し続けるためにも重要な解決策の一つ。ファッション産業に精通した人員を多く抱える当社だからこそ提案できるブランディングの維持・向上と効率的な在庫運用が、業界全体の課題のソリューションになると実感している」(香取共同CEO)。
ラベルヴィー
press@labellevie.jp