月刊誌「WWDビューティ」には、美容ジャーナリストの齋藤薫さんによる連載「ビューティ業界へオピニオン」がある。長年ビューティ業界に携わり化粧品メーカーからも絶大な信頼を得る美容ジャーナリストの齋藤さんがビューティ業界をさらに盛り立てるべく、さまざまな視点からの思いや提案が込められた内容は必見だ。(この記事は月刊WWDビューティ2021年2月号からの抜粋です)
時代の流れとはじつに不思議なもので、まるでコロナ禍を予想していたように、化粧品業界のAI化が急に顕在化してきた。接客から診断、製品選びまでをAIやロボットアームで行う「SK-II」のシステムが注目を浴びる一方、ブランドの垣根を越え市場の12万点からその人に合った化粧品を選べるAI美容部員のサービスも話題。化粧品参入を果たしたZOZOの肌色測定「ゾゾグラス」もAIではないものの美容界をアッと言わせた。こうなると後はアイデアだけ、一瞬目を離せば激変しているほどの青天の霹靂感を感じる。もちろんコロナの収束とともに、機械は冷たいとか、人恋しいなどの声が聞こえるのだろうが、リモートワーク同様、AI化と非接触販売の流れももう止められないのだ。ただ本当の意味で、美容界を揺るがすのは、むしろ“AIによる美肌評価”なのだろう。
資生堂は肌深部までのAIによるデジタル3次元化に成功。花王は肌の美しさをAIに測定させ評価させる技術を開発した。これまで、“見た目の肌印象”を何らかの機器で評価するのは不可能とされてきただけに、非常に大きな進化。肌がどう見えるかを学習させ、素肌っぽさ、厚化粧感や化粧崩れの程度、年齢による肌印象などを客観的に評価することができるのだ。精度を高めるのはこれからの話だが、一方で毛穴の数から肌の凹凸まで測定評価するAI鏡も、開発当初は精度が今イチと言われながら猛スピードで進化が進み、家庭用AI超絶ミラーまでがデビューする流れとなった。
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