「ユニクロ(UNIQLO)」を運営するファーストリテイリングとフリマアプリ「メルカリ(MERCARI)」の運営企業メルカリは3月17日、「安心・安全な取引環境の構築に向けた包括協定」として、「マーケットプレイスの共創に関する覚書」を締結した。両社で商品情報や商品画像などを共有することで、新商品発売直後の「メルカリ」上での注意喚起や、発売前の無在庫出品・著作権侵害の抑制などにつなげる。メルカリが一次流通企業とこのような協定を結ぶのは初めて。
「ユニクロ」は19日に、デザイナー、ジル・サンダー(Jil Sander)氏のコラボライン「+J」の2021年春夏商品の発売を控えている。9年振りの復活販売となった「+J」の20-21年秋冬物(20年11月発売)は、店頭に多数の客が詰めかけると同時に「メルカリ」など二次流通市場で発売後すぐに高額で転売されるケースも多く、問題視されていた。協定締結は「『+J』21年春夏の発売に合わせた面もあるが、メルカリとは以前から安全な取り引きのために話し合いをしてきた」とファーストリテイリング広報。
高額で転売する行為自体は違法ではないが、「店頭にもまだ在庫がある商品などが発売後すぐにマーケットプレイスに出品され、高値で売られるのはお客さまをあおることになる」(ファーストリテイリング広報)。そこで、ファーストリテイリングは協定に基づき、商品情報や商品画像などをメルカリに共有。「事前に発売日などが共有されていれば、お客さまにアプリ上のウィンドウなどで注意喚起ができる」(メルカリ広報)。「ユニクロ」の広告画像を二次使用した出品も多いため、今後はそうした著作権侵害にも対応していく考えという。
メルカリは21年1月に、取り引きの透明性追求のための「マーケットプレイスの基本原則」を発表していた。「高額転売などの問題はメルカリだけでは対応ができない。ファーストリテイリングだけでなく、一次流通企業との対話を今後も進めていく」とメルカリ広報。メルカリは、現時点では高額転売など「価格を理由にした出品の規制は行っていないが、新商品発売後に一時的に価格が高騰している商品などにアラートを出す機能を現在開発しており、初夏に実装予定」(メルカリ広報)という。また、ファーストリテイリングは「メルカリだけでなく、他のフリマアプリ運営企業とも同様の取り組みを進めていきたい」(ファーストリテイリング広報)。
「ユニクロ」は現在まで3年連続で、「メルカリ」上で、出品・購入ともに最も多く取り引きされたブランドとなっている。