「ザボディショップ(THE BODY SHOP)」は自身を尊敬し、ありのままの自分を受け入れる“SELF LOVE(セルフラブ)”キャンペーンを3月25日にオンラインサイトや店頭で開始する。今後、各国でセルフラブにまつわるデータや情報、専門家と協業してアドバイスなどを発信する。女優でありながらセルフラブの啓もう活動を行うジャミーラ・ジャミル(Jameela Jamil)などを筆頭に、各国からリーダーを迎えてセルフラブにまつわる体験やストーリーを展開する。日本はkemioと長谷川ミラが選ばれ、3月30日にはアプリ会員向けのオンライントークイベントを開催予定だ。
グローバル規模で行う一大キャンペーンに先駆け、メディア向けにジャミーラと「ザボディショップ」のセルフラブエキスパートのサラ・クブリック(Sara Kuburic) を交えた“SELF LOVE(セルフラブ)”に関するラウンドテーブルが行われた。
セラピストとの出会いで“セルフラブ”に目覚める
ジャミーラは女優業だけでなくモデルや作家、アクティビストとしても活動し、「女性として、自分を誇りに思い、自分はありのままで素晴らしいと信じることは社会的や政治の偏ったバイヤスに立ち向かうこと」 と説いてきた。セルフラブやフェミニストのトピックスを自由に話し合い、意見を交換するプラットフォーム「アイ・ウェイ(I Weigh)」を立ち上げたほか、ポッドキャストやSNSなどでも声だかに訴えかけている。そんな彼女がセルフラブに目覚めたきっかけは、セラピストと会うようになってからだという。「セラピストと話していくうちに、自分の中にため込んできたトラウマや不健康な考え方が顕著化してきた。これまでどれほど周りの意見を気にして行動してきたか、他人に言われたことをひたすら鵜呑みにしてきたのか、社会の基準に合わせてきたか、自分の幸せを最優先にしてこなかったのか。それが結果的に自分の幸せも、成長までも妨げることに気づいた時に、涙が出そうになったわ。そこから、もっと自分を大切にしようと思い、“セルフラブ”の旅が始まったの」と語る。
「“セルフラブ”は自己肯定への旅」
そもそも“セルフラブ”とはどんなものなのか?「旅よ。女性にとってありのままの自分を受け入れることってとても難しいと思うの。幼い頃から『かわいくないといけない』『美しくないと認められない』と刷り込まれることが多いから。“セルフラブ”とは、そんな刷り込みを1枚ずつ剥がしていくような作業。1日ではかなわない作業だから、私はよく旅に例えるの。先日35歳になったけれど、まだ旅の途中よ。少しずつでもいいから、“セルフヘイト”をなくし、その分のスペースをポジティブな思いで埋める。そうすると、自分を尊敬できるようになるし、自然に他人の意見とか、フェイクニュースとか気にならなくなるはず」とジャミーラ。
モデルとして活動する彼女だが、雑誌の撮影ではレタッチされることも拒否し続けているという。「今の時代、インスタグラムを見ると、みんな同じ顔・体型でしょう?そんなの現実的じゃないわ。雑誌や化粧品企業の広告キャンペーンではその非現実的な美の基準に合わせてレタッチされることが当たり前。自分もそのような経験があるけど、雑誌に載っている自分と、鏡に映る自分の姿がまるで違い、とても悲しくなって耐えられなくなったの。幼少期は自分の見た目が嫌で、白人のようになりたかった。でもそれはメディアや社会が白人中心の美の理想を発信していて、その影響を受けていたから。私のような見た目のロールモデルもいなかったしね。だから私は美しさは十人十色だということを伝えるためにも、肌色を明るくしてもらいたくないし、毛穴も消して欲しくない。一切レタッチしないように指示しているわ」。
SNSでフォローする人を見直す必要性
昨今はSNSの普及で「ありのままの自分を受け入れる」ことが難しくなっていると続ける。特にTikTokではウエストをヘッドフォンのケーブルで結べられるかや、ウエストの幅をA4サイズの紙と比較するなど、スリムな体型を称賛するチャレンジが流行っていることに懸念を示した。「SNSで流行しているそういったチャレンジは本当に最悪よね!特に若い女の子に『痩せなきゃ美しくない』という不健康な思い込みを浸透させるばかりで大きな問題。さらにこのような投稿の合間には、ダイエットサプリや食品の広告が流れるわけでしょう?摂食障害は死亡率が最も高い精神疾患と言われている中で、大人が若い子たちに対して“セルフラブ”を教えなければならない」と警笛を鳴らした。ミレニアル世代に対してカウンセリングを行うサラは「『ザボディショップ』が出した“セルフラブ”指標によると、SNSを見る時間が1日2時間を上回ると、自己肯定感が遥かに下がることが分かっている。それだけSNSには影響力があり、知らぬ間に“洗脳”されてしまう危険性も。だからどのプラットフォームを利用するか、どんな人をフォローするか、一度見直した方がいいと思うわ」と助言した。
リスト作りで“セルフラブ”を習慣化
“セルフラブ”という考え方やありのままの自分を受け入れられるようにするために必要なこととして、ジャミールは「私は毎日リストを作っているわ。自分がその日に体験したこと、乗り越えたハードル、どのように社会に貢献したのか、自分の価値などを書くの。実際に紙に書くと、印象に残るというか、脳がちゃんと記憶として残す気がして。そもそも自分のことを見直す機会なんてなかなかないでしょう?毎日自分の行動や考えを振り返ることを意識的にやると、その分時間を他人の意見に惑わされることに割けられなくなって、自然に自分を大切にするようになると思うわ」と明かした。サラは「他人がどう思うか、考えるかなど他人軸で考えるのではなく、自分自身の感情や考えを把握し、向き合うことが大切。人は友情や恋愛など他人との人間関係を保つために一生懸命になるけど、自分との関係は軽視しがち。特にSNSの仕組み的に、「いいね!」やコメントが欲しくなるでしょう?「私を見て!」と他人からの称賛を求めちゃうの。たまには内心と向き合う時間をきちんととって欲しいわ」と述べた。
「ザボディショップ」は2021年末までに「世界で100万のセルフラブに対する行動を達成すること」を目標に、さまざまなプロジェクトを展開する予定だ。“SELF LOVE”キャンペーンを通して人々の意識を変え、より公正で美しい世界を目指す。