丸紅はこのほど、生理痛や月経前症候群(以下、PMS)などの症状に悩む女性社員を対象に、エムティーアイが運営する女性向け健康情報サービス「ルナルナ」と同社の子会社カラダメディカが提供する産婦人科向けオンライン診療システムを活用した福利厚生制度を試験導入する。導入に先駆けて、「ルナルナ」とカラダメディカ主催の「女性のカラダの知識講座」を社内で実施した。
丸紅は昨年、フェムテック領域でのビジネス創出を目指し、新たなプロジェクトチームを立ち上げた。今回の取り組みは事業化に向けてまず、社内でフェムテックサービスを実装する必要があると考えたからだ。新たな福利厚生制度では、オンライン診療を活用し、生理痛やPMSをやわらげる月経困難症の治療に多く使われている低用量ピルの服薬を支援する。診療にかかる費用と、ピルの服薬が必要な場合はその費用を会社が負担する。初診は対面もしくはオンラインで診療を受け、以降はスマートフォンで診療を受けられる仕組みだ。
同社が事前に社内で実施したアンケートによると、9割以上の女性社員が「月経前後の症状が仕事に影響がある」と回答し、一方で9割以上の女性はPMSなどの症状がひどい時にも職場では相談しづらいと感じていることが分かった。
オンラインで開催した「女性のカラダの知識講座」では、甲賀かをり東京大学医学部附属病院産婦人科准教授を講師に迎え、月経にまつわる体の変化や、女性特有の疾患のリスク、低用量ピルの効果などについて解説した。甲賀准教授は「普段患者さんを見ていると、初経を迎えてから生理痛を感じていたにも関わらず痛みがひどくなってから受診される方が多い。周りや数値ではなく、本人が困っているなら積極的に医療受診をしてほしい。丸紅の取り組みで、正しい情報にきちんとアクセスでき、自己モニタリングがしやすくなること、かかりつけ医に相談がしやすい環境が整備されることを期待している」と話した。当日は丸紅の男女社員約100人が参加。参加した男性社員は「1番衝撃的だったのは9割以上の社員が毎月何らかの形で影響を感じている事実だった。社内では(生理に関する話題を)タブー視してしまう雰囲気があったが経営者の一人として理解を深めていくことの重要性を改めて感じた」と感想を述べた。
エムティーアイでは「ルナルナ」のサービス開始20周年を機に、社会全体におけるヘルスリテラシー向上させ、女性がより生きやすい環境を実現することを目的としたプロジェクト「フェムケーション(FEMCATION)」をスタートさせた。知識講座プログラムの提供や他企業とのパートナーシップによる制度整備などに取り組む。