渡辺淳弥が手掛ける「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS)」は2021-22年秋冬コレクションのファッションショーを3月15日に行った。従来パリで発表している同ブランドが東京でショーを行うのは、1999年3月の99-2000年秋冬シーズン以来21年ぶり。会場となった東京・豊洲の大型ライブハウス、豊洲PITに入場するとギターやドラムセットが舞台上に並んでおり、今にもライブが始まる雰囲気だ。
「ヴェルサーチェ」と初コラボ ロックTシャツとプリントをミックス
ショーは米ロックバンド、エアロスミス(Aerosmith)の楽曲「Back in the Saddle」のライブ盤をBGMにスタート。スモークの中から出てきたファーストルックのモデルは、背面に「ヴェルサーチェ(VERSACE)」の代表的なバロッコ柄のスカーフ地を配したエアロスミスのロックTシャツに、サイドプリーツを加えたジーンズを着用。顔は黒く囲んだアイメイクに鼻ピアス、チェーンネックレスを合わせたロックガールで、曲に合わせて踊るようにポーズをとった。
キーアイテムはロックTシャツだ。エアロスミスに続いて、クイーン(Queen)、ザ・フー(The Who)、キス(KISS)、デフ・レパード(Def Leppard)、セックス・ピストルズ(Sex Pistols)、AC/DC 、ブラック・サバス(Black Sabbath)、デヴィッド・ボウイ(David Bowie)、ザ・ローリング・ストーンズ(The Rolling Stones)など、主に1970年代に名を馳せたロックバンドのアルバムジャケットやロゴのモチーフを使用している。目を引くスカーフ風のテキスタイルは「ヴェルサーチェ」との初のコラボレーション。6種類の代表的なスカーフ柄を採用し、Tシャツやボトムスを彩った。デニムは「リーバイス(LEVI’S)」との協業で、定番モデルの“501”から37年、47年、66年、77年の4つの時代のモデルをベースに再構築している。「リーバイス」とはメンズの「コム デ ギャルソン・ジュンヤ ワタナベ マン(COMME DES GARCONS JUNYA WATANABE MAN)」で長年コラボを続けているが、ウィメンズでは初。ウィメンズのデニムブランド「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン デニム(JUNYA WATANABE COMME DES GARCONS DENIM)」からのアイテムとなる。他にもミリタリージャケットやコートをはじめ、スタジャンやネルシャツ、テーラードジャケット、白シャツにネクタイなど、鉄板のロックスタイルに、異素材やプリーツを掛け合わせた。
自己表現を楽しむ“不滅のロック魂”
フィナーレは、モデル全員が踊りながら一列に広がって一礼。会場にはライブ後のような熱気が漂っていた。渡辺デザイナーはこのコレクションを「不滅のロック魂」と題した。ヘビーメタルやハードロック、グラムロック、サイケデリック、パンクロックなど異なるジャンルを超えて、音楽のように自由に自己表現を楽しむスタイルだ。昨今はコロナ禍でさまざまなライブイベントがキャンセルされ、イベントのオンライン化も進んでいる。ロックの反骨心を借りながら、ミュージシャンたちの情熱を込めた「ジュンヤ ワタナベ・コム デ ギャルソン」の服は、人々を強く、前向きな気持ちにしてくれる。
■ショーのセットリスト
1. Back in the Saddle / エアロスミス
2. Seven Seas of Rhye / クイーン
3. Baba O'Riley / ザ・フー
4. Detroit Rock City / キス
5. Photograph / デフ・レパード
6. Anarchy in the U.K. / セックス・ピストルズ
7. Hells Bells / AC/DC
8. Sympathy for the Devil / ザ・ローリング・ストーンズ