「アンダーカバー(UNDERCOVER)」が、19年ぶりの東京での単独ランウエイショーを寺田倉庫で開催した。「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO)」の冠スポンサー、楽天の支援プロジェクト「バイアール(by R)」の一環で、顧客を中心とした第1部と、メディアやバイヤーを招待した第2部に分けて行った。第2部の様子は公式サイトなどで生配信した。
メンズは「エヴァ」がモチーフ
突き抜けた世界観
ショーはメンズとウィメンズに分けて発表した。メンズは事前にルックで公開したアイテムではなく、「新世紀エヴァンゲリオン」をモチーフにしたスタイルを披露。人類を襲う生命体「使徒」と、それに対抗するために生み出された人造人間「エヴァンゲリオン」を、グラフィックや総柄、アイテムの組み合わせなど多用な手法で表現した。例えば、目が光るヘッドピースにハイネックコート、細身のパンツというスタイリングで綾波レイが操る「エヴァ零号機」を表現したり、紫と緑のカラーブロックを用いたパフジャケットは主人公が操縦する「エヴァ初号機」だったり、他にアスカを思わせるスタイルも登場。作中で「エヴァ」操縦士が付ける耳型のヘッドピースをはじめ、アクセサリー1つ1つにも世界観を詰め込んだ。壁にはアニメのワンシーンを投影し、使徒の襲来を想起させる轟音を響かせるなど、演出と洋服が一体となり、作品のファンならずとも没入してしまうショーを作り上げた。
ウィメンズの
毒々しい生命力
ウィメンズは、トム・ヨーク(Thom Yorke)がミックスした音楽を背に、ニットにワイドパンツ、ピンヒールを合わせたシンプルなルックでスタート。ニットには神や天使といった宗教関連のモチーフも採用し、意味深なムードを作り上げる。そこからショートブルゾンとフード付きのベスト、ロングジャケットなどをレイヤードしたカウボーイルックや、ベロアジャケットにフリルシャツを合わせたバースタイルなど、レトロなムードが続く。時おり透明のビニールパーツを差し込んで、フューチャリスティックなテイストも加えた。最後には、大きなフリルを腰にあしらったワンピースや、無数のフリルをつけて超ボリューミーにしたドレスなど、生命力溢れる服を連打する。目元には仮面のようなラメを付けたり、小さな蝶々や蛾などを散りばめた総柄のジャンプスーツを挟んだりと、同ブランドらしい毒っ気も盛り込まれていた。
ショー終了後の会場では、「まさかのエヴァだったね」「あれって販売するのかな?」「ウィメンズもすごく可愛かった」「見に来れてよかった!」と熱い感情を共有しあう来場者ばかりだった。高橋盾デザイナーの「東京でやるからには、“生”のショーの楽しさ、パワーを伝えたい」というコメントの通り、東京でしか起こせないインパクトを見せつけられた。デジタル発表によってリアルショーの価値が揺らいでいるのは事実だが、リアルの可能性を信じるデザイナーがいる限りは、ファッションショーの楽しさは進化していく。