2021-22年秋冬シーズンの「楽天 ファッション ウィーク東京(Rakuten Fashion Week TOKYO以下、RFWT)」が21日に閉幕しました。「WWDJAPAN.com」は、東コレのNo.1ブランドをユーザー投票で決定する“T-1グランプリ”を開催!編集部が選んだ全20の候補から、あなたが思うベストブランドに投票してください!ノミネートブランドの確認と、投票フォームには以下からアクセス!
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見どころ:「アツシナカシマ」は、日本画家の楚水の絵画や虎のイラストを使用したド派手なルックが登場。日本画から着想したカラーリングを、明るいトーンにアップデートしました。前シーズンから継続する和の要素はさらに色濃くなり、ブルーとパープルのグラデーションに楚水のイラストをのせたMA-1は、アートをリアルクローズに上手くなじませた一着。そのほかレーザー加工で日本画を全面に施したデニムジャケットや、ストリート色の強い“FOREVER STRONG”のロゴを配したスエット、全面花柄のワンピースなどを提案。ヘアメイクは奈良裕也が担当し、暴走族をイメージしたリーゼントのモデルが印象的でした。フィナーレでは、“暗い世の中でも輝き続けたい”という思いから、Hi-STANDARDの「STAY GOLD」を選曲。名曲をバックに、モデルが颯爽と歩く姿は圧巻でした。(大澤)
「アツシナカシマ(ATSUSHI NAKASHIMA)」
見どころ:19年ぶりの東京単独ショーを開催。メンズのモチーフはまさかの「新世紀エヴァンゲリオン」で、先週末に最新作を見たばかりの僕はテンション爆上がり。「第2使徒リリス」(人類の親のような存在)や「エヴァ初号機」(リリスを元に作った対使徒用人造人間)など、作中のアイコニックなキャラやシーンがグラフィックに登場しました。全身白の服と目元が光るヘッドピースや、紫と緑、赤とオレンジなどの象徴的なカラーブロックで「エヴァ」各機を表すなど、世界観を伝える手法もさまざま。危うく“フォースインパクト“が起きちゃうところでした。(美濃島) (c)khara
「アンダーカバー(UNDERCOVER)」
見どころ:倉橋直実デザイナーによる「ザ・リラクス」はクリーンでストイックなイメージが強いブランドですが、今季は秋冬でも軽やかさを感じました。序盤は、トレンチコートなどのベーシックアイテムを合わせたオールブラックの安定のミニマルスタイルが登場しましたが、中盤にかけて白い花柄ドレスや、シアーな素材にタータンチェックを載せたトップス、レースのボトムスなど色柄をプラス。得意とするウールなどの重衣料と、シースルー素材の布帛アイテムとの素材のコントラストを効かせていました。耳元にはゴールドのタッセルチェーン付きのジュエリーが華やかに飾られ、歩くたびに揺れてキラキラ光っていたのが印象的でした。2021年春夏からロゴを刷新し、新たなバッグコレクションもローンチするなど、毎シーズン提案の幅が広がっています。余談ですが、カメラ機材などを含めた映像のクオリティーがとても高く、自慢の素材の美しさがしっかりと伝わってきます。毎日たくさんコレクション動画を見ているので、「本当にすごい!」とその違いに釘付けになりました。(大杉)
「ザ・リラクス(THE RERACS)」
見どころ:4年ぶりの東コレ参加。いつもより要素は少なめですが、ラウンドした身頃をいくつも使ったジャケットをはじめ、パターンワークの面白さが際立ちました。赤と黒をメインとした潔いカラーパレットも好み。会場には多くの学生が招待され、コメントを添えた手紙を客席に置いたり、メディアと混ざって学生による囲み取材も行ったりと、ファッションを次の世代に繋げようとする熱い姿勢がビシビシ伝わってきます。子連れの出席者もいて、中には大きな音と暗い空間に驚き泣き出しちゃう子も。そんな子に向けては「ごめんね、怖いよね。でもいつか服が好きになったら、『ファッションショー行ったことあるんだよ』って教えてもらえるし、きっといい体験になると思うんだ」と話してて、その優しさにもウルっと来ました。すっかり藤田哲平デザイナーのファンです。(美濃島) PHOTO :YOSHIAKI HIKINUMA
「サルバム(SULVAM)」
見どころ:大木葉平「シュープ(SHOOP)」デザイナー自らが「今までの中でベスト」と言い切る自信のコレクション。“トランスフォーメーション”をキーワードに、普遍的なスーツやストリートウエアにギミックを過剰に盛り込んでカルチャー的角度からの奥行きを加えています。ジャケットやパンツ中央の波打つようなカッティングだったり、体をクロスするニットの唐突な編み込みだったり、光沢のある強いマテリアルを多用したりするデザインは、緻密に計算されたというよりも、デザイナーデュオの衝動が込められていたように感じました。そういうテンションのときって、いいコレクションができる打率が高いですし。「ハルヒト ジーンズ(HARUHITO JEANS)」と協業したデニムアイテムは、精巧なビンテージ加工で経年変化の価値をポジティブに表現。一着一着を大切に、長く着ようというメッセージを発信しています。強い服に対して、動画はタイトル“CATWALK”にかけて本当に猫が登場するダジャレでスタート。さらに、猫には特に意味はなかったというオチにずっこけつつ、和みました。(大塚)
「シュープ(SHOOP)」
見どころ:ムービーで発表した「シンヤコヅカ」は、小塚信哉デザイナーが見た夢をインスピレーション源に、「意味がなくても見た人が素敵だと感じればうれしい」とあえてテーマを設けずにコレクションを制作しました。前回に続いてコラボレーションした、コラージュアーティストのヤビク・エンリケ・ユウジ(Yabiku Henrique Yudi)とのアイテムは、ペンキを乱雑に混ぜ合わせたような柄のジャケットやパンツ、格子柄のセットアップなど、強いデザインが目を引きます。若者が挑戦したくなりそうです。そのほか「ディッキーズ(DICKIES)」や「イーストパック(EASTPAK)」とのコラボアイテムも発表。相変わらず、モデルの顔は見せてくれませんでした(笑)。(大澤)
「シンヤコヅカ(SHINYAKOZUKA)」
見どころ:「ソマルタ(SOMARTA)」の廣川玉枝デザイナーが立ち上げた“現代の和装”を提案するブランドです。京都の友禅染め企業と組んでデジタルプリントした、自然風景のグラフィックが段違いに美しかった。山合いの夕暮れや崖から落ちる清流を切り取ったのは、「自然を慈しむ日本人の感性をデザインに落とし込むため」だそう。菊の花や牡丹を織りで表現した無地のテキスタイルも独特の凹凸で目を引きました。こんな服を着た女性を街で見かけたら見とれてしまいそう。廣川デザイナーは香川の工場と組んだブランドもスタートさせるなど、日本の伝統や技術を広める活動を意欲的に行っています。(美濃島)
「ソワハ(SOWAHA)」
見どころ:「タエ アシダ」から招待状と一緒に、桜とツツジの盆栽が届きました!植物の美しさに癒されつつ、自然に囲まれた邸宅の写真を載せた招待状のビジュアルに惹かれて、今日のコレクションを楽しみにしていました。今季は「La maison dans la foret(森のなかの邸宅)」というテーマの通り、邸宅内で撮影した動画を発表しました。室内ということで、ランウエイよりもリアリティーを演出でき、着用シーンも想像しやすいですね。特に目を引いたのは、モコモコしたシャギーニット。ニットドレスはほっこりした印象になりやすいですが、イエローとブラック、パープルの配色と、Aラインのシルエットで上品に提案していて、ドレスアップのオケージョンでも着用できそうです。またプレスノートに書かれた「長いコロナ禍を経て、一歩踏み出すエネルギーを込めた」という芦田多恵デザイナーのポジティブなメッセージにも共感しました。(大杉)
「タエ アシダ(TAE ASHIDA)」
見どころ:日本出身の韓国人デザイナーのアビズモ ジョー(Avizmo Jo)が2018年にスタートしたメンズブランド。今シーズンはサテン生地で仕立てたチェスターコートをデニムジャケットにドッキングしたり、オレンジやグレーのスラックスパンツにコーティングを施したりと個性豊かなピースが目立ちました。個人的にはブルーで染めたベロアのタキシードが着てみたい。安っぽさもなく、日本のマーケットに合わせているわけでもなくて、自分の作りたいものを届けているところに惹かれました。最近では韓国アイドルも着用して徐々に人気を集めていますし、これからが楽しみです。(大澤)
「ディ_カフェイン オム(DE_CAFFEINE HOMME)」
見どころ:持ち味である古着のアップサイクルが光ったコレクション。時代の流れからこの手法を取り入れるブランドは増えていますが、「ニサイ」は「誰かが不要としたものを、必要なものに変えてしまうのってめっちゃロマンチック」が服作りの原点なので、押し付けがましさがありません。どのアイテムも原型が想像できないほどごちゃ混ぜなのにチープさを感じさせないセンスの良さと、ブランド設立理由が「当時別れた彼女を見返したかった」という不純な感じもツボでした。ペンキが入ったボックスに足を突っ込み、垂れ流しながら白いランウエイを闊歩して軌跡を残すアイデアも面白かった。この日のリアルショーで一番エネルギーを感じたブランドで、今後の期待も高まりました。(美濃島)
「ニサイ(NISAI)」
見どころ:“違法野外レイブ”をテーマにしたエンターテインメント満載のショーを開催。巨大なドームとレーザー演出、客席の折りたたみチェア(オリジナルバッグに入れて持ち帰り可能!)、マスクの上から付けるバンダナなど、世界観を作るために手間とお金を惜しまない姿勢があっぱれ。デニムとTシャツのみのラフなルックからラメ入りのチェック柄セットアップでバチバチに決めたモデルまで、テイストは幅広いのに不思議とまとまって見えるのは、“レイブ”という個性の坩堝のようなテーマのおかげ。BiSHメンバーによるおなじみの“麺食い“演出は、「寝る人の隣で出前の盛りそばをすする」というもので、渡辺淳之介デザイナーは「よくあるシーンじゃないですか?」と話してましたが、全く共感できませんでした。(美濃島)
「ネグレクトアダルトペイシェンツ(NEGLECT ADULT PATIENTS)」
見どころ:「ハイク」が登場すると東コレが急に引き締まりませんか?そう思ってしまうぐらい、高いクオリティーのクリエイションを毎シーズン安定的に見せてくれます。今シーズンもミリタリーやアウトドアを軸に、英国調のかっちりしたコートやセットアップ、牧歌的なざっくりフェアアイルニット、腕や脚を覆うパーツウエアを差し込んで凜としたスタイルを完成させています。タフな機能素材のアウターに柔和なシルエットを採用したり、命を守るカラビナ&ロープをキャッチーなベルトとして提案したり、マウンテンシューズにシャープなラストを用いたりと、相反する要素を軽やかに衝突させる“抜き”のセンスに毎回感心するんですよ。男性の僕も欲しい物だらけでした。(大塚)
「ハイク(HYKE)」
見どころ:シーズンタイトルは“突破口”を意味する“BREAKTHROUGH”。その名の通り、正統派のスタイルを崩しながら、自由に着飾ることを楽しむという突き抜けたコレクションでした。グレーのジャケットにはアニマルプリントのポケットが付いていたり、クラシカルな千鳥格子のニットには、編み目を分解したような柄があったりと遊び心も満載。動画は開放感のある自然の中で撮影されており、協業を続けてきたピアニストの横山幸雄による音楽が美しく融合しています。また、ヒロコ先生はアートとファッションを両立するまれなデザイナー。60年以上のファッションデザイナーの経歴に加え、墨絵や絵画の作品を生み出し続けており、動画内にも先生の墨を使った絵が登場していました。自己表現の大切さを学ばせてもらえるようなコレクションでした。(大杉)
「ヒロココシノ(HIROKO KOSHINO)」
見どころ:パリコレで披露したコレクション動画「SELF-LOVE MOVIE」の続編。モデル2人組が、同一または色違いの服を異なる着方で着用し、“1着で2通りの着方が可能”な「ダブルエンド」のギミックを見せました。1人は通常の台襟付きの白シャツ(ワイシャツ)とサルエルパンツを合わせ、もう1人はシャツを逆さにしてボウタイブラウスにしたり、パンツはファスナーを開いて反転させることでワイドパンツとして着用したり。対になったルックから、違いを見つける楽しさがあります。(大杉)
「ビューティフルピープル(BEAUTIFUL PEOPLE)」
見どころ:構築的なパターンのダッフルコートやテーラードのディテールを採用したダウンジャケットなど、過去に披露したアイコンアイテムが登場。別のカラーで採用したり、スタイリングに変化をつけたりして、テーマの“必然的多様性”を表現しました。全アイテムに載せたQRコードは実際に読み取り可能で、ブランドサイトに遷移する仕組み。機能の一つとして用いて、記号としてロゴを消費するブームに疑問を示しています。(美濃島) PHOTO:KO TSUCHIYA
「フミト ガンリュウ(FUMITO GANRYU)」
見どころ:金木志穂が手掛ける「ベースマーク」は、東コレ2回目の参戦。“CROSS THE LINE”をテーマに、クラシカルな西洋の伝統とモダンな東洋のカルチャーを融合しました。得意とする異素材のミックスや、クラシックなアイテムをモードに昇華するテクニックは健在。東洋でお守りや魔除けとして使われるフリンジの装飾が付くアイテムをはじめ、オリジナル素材にジャージーを斜めにドッキングしたセットアップ、ダッフルコートの袖や後ろ身頃の半分をパイルジャカードで切り替えたアウターなどを提案しました。これだけのテクニックを駆使しながら、コレクションピースで約12万円というコスパにもビックリ。これまでウィメンズブランドとして活動してきましたが、今シーズンからは男性モデルをムービーに起用するなど、ユニセックスブランドとして打ち出しています。個人的ネクストブレイク筆頭候補です!(大澤)
「ベースマーク(BASE MARK)」
見どころ:14年にスタートした「ミーンズワイル」は、テーマ“FORM FOLLOWS FUNCTION , FUNCTION FOLLOWS FORM”を掲げてコレクションを発表。前シーズンのテントを意識した立体的なフォルムの要素は抜け、フロントに2本のファスナーを用いたMA-1やマウンテンパーカ、ハンティングベスト、ムートンジャケットなど、リアルで着やすい機能的なアイテムを数多く提案しました。そのほかリフレクターのラインが特徴の異素材を組み合わせたスエットや、木目調のジャケットとラップパンツを合わせた新しいスタイルも提案しました。個人的にはオレンジのダウンジャケットにケープがレイヤードされたルックがツボでした。(大澤)
「ミーンズワイル(MEANSWHILE)」
見どころ:テーマの“プロセス”は、「絶望の時代でも、長い目で見れば通過点でしかない」と思いを込めて掲げたもの。そのメタファーとして、馬の重心の変化を描いたイラストをビンテージの医学書から引っ張ってきたり、ニーチェの言葉をコラージュしてテキスタイルにしたりと、アカデミックな視点のモチーフが面白かった。ドレープが美しいプリーツスカートやきれいにクセ取りされたテーラードジャケットなどに落とし込まれていました。ショーの予算の一部をクラウドファンディングで賄ったり、デザイナー自身がSNSでバンバン意見を述べたりと、型にはまらない働き方に新時代の到来を感じさせました。(美濃島)
「ミカゲ シン(MIKAGE SHIN)」
見どころ:パンデミックで人類が直面している危機や不安を乗り越えた先の愛や平和を願うコレクションでした。異素材ハイブリッドや盛り盛りにレイヤードする東京ブランドらしいミックス感が強く、ベージュやパープルといったカラーリングが優しいスタイルでした。素材感やモチーフなど要素はたくさんなのに、スタイルとして軽やかに成立させてしまうバランス感は本当に上手い。ベーシックやトラッドが中心だった初期の軸は残しつつ、世界観を拡張していく姿勢がたくましかったです。今年1月に逝去したオオスミタケシデザイナーが「フェノメノン(PHENOMENON)」で使っていた“レモンツリーカモ”と“ブルータイガーカモ”がタイツに差し込まれていたのが涙涙。いつもと変わらない「ミスター・ジェントルマン」に感動しました。(大塚)
「ミスター・ジェントルマン(MISTERGENTLEMAN)」
見どころ:土井哲也デザイナーが望む半年先の未来を詰め込んだコレクション。土井デザイナーが幼少期に訪れて衝撃を受けたアメリカのプレッピー&ヒッピースタイルと、パリのフレンチスタイルを着想源に、さまざまな年齢や性別、人種のモデルを起用。冒頭ではリアルで着れるアイテムを身にまとった15体のモデルが登場して、会場の中央に座り込んで観客と共に最後までショーを楽しみました。スケートボードやバスケをする少年たち、テーマパークさながらのクマの被り物にフリースパーカーを着た2人の少女、上下逆さの巨大Tシャツに貼り付けた“FAMILY”や“KISS”、“HUG”といったワードから、新型コロナ前の当たり前の日常を思い出しました。(大澤) PHOTO:SEIGO ISHIZAKA
「リコール(REQUAL)」