「買った洋服を着て帰る」のメリット
こんな仕事をしていますから、「消費者としても、業界に何か貢献できないか?」なんて考えることもしばしばです。おそらく一番の貢献は「たくさん買うこと」なのですが、それは流石に難しい。では、「買うとき、ちゃんと本音を言うこと」でしょうか?初対面だと、まぁまぁ難しいですよね。
そこで最近思いついたのが、「買った洋服を着て帰る」ことです。今度、試してみようと思っています。
「それが、一体なんのために?」と思う人もいるでしょう。ヒントはヘアサロンにあります。カットやカラー、ブローしてもらった後の、施術後からお会計、そして退店までの消費者としての行動を、洋服屋さんでも試してみたら良いのでは?と思ったのです。
皆さん、ヘアサロンでカットやカラー、ブローしてもらった後は、どんな風に店を出て、街や家、次の目的地に向かいますか?思い通り、もしくは期待以上のヘアスタイルが完成したら、何度もお礼を言ったり、レジのスタッフに褒めてもらって喜んだり、自分を何度も鏡で見ちゃったり、手ぐしでサラサラ具合を確認したり、ちょっとスキップしながら店から歩き始めたりするでしょう?アレって、サロンスタイリストにとって、ものすごい喜びや自信につながっていると思うんです。ヘアサロンだと終始ウキウキしてしまうのは、もう自分が変身して、その状態をキープできているからです。
比して洋服屋さんは、どうですか?試着して、ウキウキして、「じゃあ、これください!!」って言っても、着て来た洋服に着替えて、もう一回「前の自分」に戻って、「前の自分」のままお会計をして、店を後にしますよね?一回変身したのに、帰るときには魔法がとけているんです。それは、外から見てもわかるウキウキに影響しているのではないか?さらに、お客さまのウキウキを体感できる時間が短いのは、販売員のモチベーションに影響するのでは?そんな風に考えました。だったら、「買った洋服を着て帰る」もアリじゃないのか?そういう思考回路です。自分も楽しいし、自分が楽しんでいる姿が見られる販売員も楽しい。他のお客さまだって、楽しいのではないでしょうか?そんな風に考えます。
その昔読んだマンガ「即席ビジンの作り方」(by VoCE)で、作者の東村アキコの髪の毛を大変身させたROI(表参道)のサロンスタイリストは、「今日はこのまま、歩いて帰ってくださいね。だってあなたは今、表参道で一番かわいいんですから」と言ったそうなのですが(カッコ良すぎか!!)、言われるがまま歩いて帰るお客さまを見たら、サロンスタイリストのやる気はグングンアップするでしょう。洋服の販売員にも、同じようなカンフル剤があればなぁ、なんて夢見るのです。
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