スタイリングライフ・ホールディングス BCLカンパニー(以下、BCL)による、毛穴悩みにアプローチするブランド「ツルリ(TSURURI)」から、メンズ向けの兄弟ブランド「メンズツルリ(MEN’S TSURURI)」が3月8日にデビューした。商品企画から販促、店頭展開にわたるまで携わったのは、社内横断型のプロジェクトチーム“メンズラボ”。自分たちの「欲しい」を形にすることをコンセプトに、第1弾アイテムとして洗顔料の「スクラブフェイスウォッシュ(1320円)と部分用洗顔料『スクラブジェル』(990円)を発売。ラボメンバー6人に、新ブランドに込めた想いやこだわりを聞いた。
WWD:メンズラボ発足の経緯は?
中川涼介・国内事業部バラエティ営業部(以下、中川):BCLにはメンズブランドがありません。そして、私自身も店頭で買いたいと思えるメンズ商品が見当たらず、「メンズが考える、メンズのための化粧品」を作りたいと思っていました。メンズコスメブランドの立ち上げは私の目標でもあり、同じ思いを持ったメンバーと意見を出し合いながら良いものを作りたいと考え、ラボを立ち上げました。私たちのメンズラボは、実は3代目なんです。過去に何度かメンズブランドを作ろうとラボが立ち上がりましたが、ブランド化には至らなかった経緯があります。
近藤允・海外事業部係長(以下、近藤):当社としても、これからメンズ向けアイテムを強化したいという思いがありました。新ブランドを作るなら、メンズ市場が盛り上がっている今がベストでした。
中川:メンズラボは2019年8月に立ち上がりましたが、「メンズツルリ」の開発は20年8月にスタートしました。BCLでもこんなにスピード感のある商品開発はほとんどありません。月1で集まっていますが、みんな普段の業務とメンズラボの割合は7:3くらい。普段の業務の経験を生かしてラボでも営業なら営業を、宣伝なら宣伝の役割を担っています。
WWD:新ブランドはなぜ既存ブランドから派生したものに?
南直宏・宣伝本部宣伝部メディア室PR担当(以下、南): 2000年にデビューしたブランド「ツルリ」は毛穴に特化しており、男性にも扱いやすいブランド。出荷数はシリーズ累計で1800万個を突破して、知名度もありました。しかしパッケージは女性の使用シーンをイメージしたものだったため、パッケージを変更して「メンズツルリ」としてスタートしました。
谷口祐一朗・国内事業部東日本営業部(以下、谷口):既存の「ツルリ」は以前、メンズ向けの“鼻用吸着パック”を発売したこともありました。しかし売り上げは苦戦。「メンズツルリ」は、そのリベンジでもありますね。
赤城俊介・国内事業部専門店営業部(以下、赤城):そして男性の肌悩みはなんといっても毛穴がダントツ。美容感度の高い人もそうでない人も、洗顔は誰でも使っているアイテムなのでまずは洗顔フォームからスタートしました。
WWD:パッケージには特にこだわった?
南:女性が思う“メンズっぽさ”と、男性が欲しいものは違います。社内でもいくつかデザイン案を出しましたが、女性社員が思う“メンズっぽさ”のイメージは、色は白がベース、字体はポップで柔らかめなど韓国のビューティテイストが入ったものでした。しかしラボのメンバーが欲しいカラーは、ダントツでイエローでした。
谷口:ドラッグストアなどで他社製品を見ると、メンズ商材の多くは黒や白のモノトーンや、青など。だからこそラボで作るアイテムは目立つデザインがいいと思いました。イエローは売り場にも少なく、部屋に置いていても、友達や彼女が見たときにおしゃれだと感じてくれる色。結果、「メンズツルリ」はイエロー×グレーの組み合わせになりました。
赤城:いわゆる“男らしい”ものをラボのメンバーでは欲しいと思いませんでした。中身に関しても、スースーしたメントールの清涼感のあるすっきりではなく、“脂の取れたスッキリ感”が欲しいんですよね。「メンズツルリ」の洗顔は、通常より大きめのスクラブを配合しているので、洗顔中もしっかりスクラブを感じながら毛穴の角栓を除去しているスッキリさを実感できるはずです。その点はこれまでの洗顔とは大きく違いますね。
長崎絢・国内事業部マーケティング部ブランド戦略室(以下、長崎):毛穴に特化した「メンズツルリ」ではありますが、実はパッケージやポップには“毛穴”という言葉を書いていません。余計なものを無くしてシンプルさを追求した結果、「商品内容が気になる人は裏面を見るよね」と考え、訴求の文言もあえて日本語を排除してシンプルなかっこよさだけを残しました。その分、店頭で目立たせるためのイエローカラーでもあったりします。
WWD:「メンズツルリ」をどんな人に使ってほしいか。また今後の展開は?
南:「メンズツルリ」は洗顔が1320円という中価格帯の商品です。メインターゲットは20〜30代ですが、大学生や社会人になって「少しいいものが欲しい」と思ったときのアイテムとしてはもちろん、いま市場にある商品に満足していない、美容感度の高い男性に手に取ってもらえるアイテムになるとうれしいですね。そして「黄色のあのブランドだよね」と言ってもらえるブランドに成長させていきたいです。
長崎:今後は半年に1回のペースで新製品を出していきたいです。ブランドとしての鮮度も高まりますし、売り場の新鮮さも上がるので。
近藤:いずれは海外進出も目指しています。グローバルでは日本のメンズアイテムはほとんど知られていません。まずはアジアからスタートし、ゆくゆくは欧州への進出を目標としています。