原宿の魔法。そして明治神宮は100年目を迎えたとか
先週、東京・原宿の空気を久しぶりに胸いっぱい吸いました。ファッション業界人としてはあるまじき発言ですが、あの界隈の活動は表参道沿いから南青山にかけてがメーンです。中高生の頃にイタイくらいおしゃれして向かったラフォーレ原宿や今はなきアメカジの殿堂プロペラの思い出は胸にちゃんとしまっているし、NIGOさんに原宿について取材をした時の緊張感は今も覚えていますが、最近はとんちゃん&竹下通りはあまり用事がありません。
先週訪れたのは、以前もこのレターで紹介したユーチューバー、あさぎーにょが手がける「ポピー」が初のショップを原宿にオープンしたからです。あさぎーにょはSNSの総フォロワー数300万人を超えるインフルエンサーです。
細い路地を曲がった、ラーメン屋の前の小さな路面店には彼女のポップで可愛い世界が詰め込まれていました。印象的だったのは開店のきっかけです。昨年、あさぎーにょが大好きな帽子屋さんの前を通ると店じまいの片付けをしているところに遭遇。ショックを受けた彼女はそのまま店の人と話し込み、その場で自分の店を開くことを決意。店の人に物件のオーナーにつないでもらい実現したそうです。「ポピー」はブラウス1型1600枚を売り上げるアパレルブランドですが、とは言えまだ立ち上げたばかり。大好きな場を引き継ぎたいという思いから「ここに店を開く」と即断した彼女の行動力には頭が下がります。
内装はタイルの色一つ、ランプシェードの柄一つ、全て彼女自身が夜な夜な選び、まさに小さな城。ユーチューブやインスタグラムではその制作過程をツマビラかにファンに報告していました。来店は予約制で4月いっぱいの予約があっという間に埋まったそうです。このコロナ下で、こんなに情熱的なファッションの物語と出会えて私は幸せでした。ユーチューバーは“子供がなりたい職業上位”と聞きますが、子供たちは彼らのツマビラかな情熱に惹かれるのではないでしょうか。
「原宿が好き」。あさぎーにょのその一言を聞き、この街には時代が変わっても解けない魔法がかかっていると思ったのでした。
ところで明治神宮は1920年11月1日に創建され、100年目の節目を迎えています。パンデミックでなければ表参道は東京オリンピックとともに盛り上がりを見せていたのでしょうね。今はそれは難しいけれど自分たちの街から生まれるファッションを盛り上げたい、改めてそう思ったのでした。
あさぎーにょへの動画インタビューは下のリンクからどうぞ。この日私は「ポピー」のドリーミーな空間で何を着るか悩みました。何を着ても中途半端になりそうだから思い切って「ヨウジヤマモト」の黒?とも思いつつ、最終的に選んだのは「グッチ」のブラウスとスカートです。蛇や蝶々が飛び交う「グッチ」の不思議なプリントの世界観は「ポピー」のおとぎの国としっくり馴染んでいた。と自分では思っています。ぜひ皆様からの感想をお聞かせください。
IN FASHION:パリコレもストリートも。ジュエリーもインテリアも。今押さえておきたい旬なファッション関連ニュースやコラムを向 千鶴執行役員 WWDJAPAN 編集統括がピックアップ。日々の取材を通じて今一番気になる話題を週に一度お届けします。
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