ファッション

マリエが本音で語る「私の33年目のサステナブル」 Vol.9 ファッション好きの少女がデザイナーになるまで【ウィスコンシン州での出会い編】

高校は都内の“私服で通える学校”へ進学した。通学に片道1時間かかる学校だったが、 “自由にファッションを楽しみたい”という思いが後押しした。そして、高校1年生の9月には2度目の留学。行き先はアメリカ・ウィスコンシン州だ。

私は、ニューヨークなどアメリカのきらびやかな街が好きだと思われがちだが、田舎町も最高に刺激的で好きだ。ミルウォーキービールと、映画界の巨匠オーソン・ウェルズ(Orson Welles)の出身地以外なかなかピンとこないウィスコンシン州の街が大好きだった。

そして、この街での出会いが、その後の人生に大きく影響を与えた。

英語が全く話せない私は、全校生徒数千人のマンモス校で友達もできないまま寂しい日々を過ごした。校内にはカッコいいファッションに身を包んだグループがいた。私は、彼らが受けているクラスを見つけ、同じクラスを受けられるよう担当の教員に頼み込んだ(アメリカには担任の先生ではなく、各生徒に相談役となる教師がつくシステムがある)。

そこで出会ったのが、写真と絵画(アート)だ。写真のクラスでは、一眼レフカメラの撮り方と、撮った写真を暗室で手焼きプリントする技術を学んだ。絵画のクラスでは自由な表現を学び、偉大な作品に触れ、創作した。そこは言葉のいらない世界だった。自分の作品が良ければ褒められ、それをきっかけに言葉はとぼしくとも会話ができることに気づいてからは、一眼レフなしに外出することはなくなった。

そして、その“イケてる”グループ”が身を包んでいたのが“パンクファッション”だった。写真や絵画(アート)を通じて交流を深めながら、音楽やファッションも共有し、多くの時間を彼らと一緒に過ごした。

16歳という多感な時期の経験は、人間に大きなアイデンティティーを芽生えさせる。

アートと音楽、ファッションは、言葉の壁を飛び越え、話をする代わりに私という人間を表現してくれることに気づいた。

ファッションが好きで、時間さえあれば暗室作業を続け、「サステナブルは現代のパンクスタイルだ!」と唱え続ける根源はそこにある。

——サスティナブルは現代のパンクスタイルだ!——
この話題については、先のコラムでブレイクダウンして伝えたい。

つづく……

PASCAL MARIE DESMARAIS x ファッションの記事

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