今週の「WWDジャパン」は、NEXT LEADER特集。未来のファッション&ビューティ業界を担ってほしい10人を讃えつつ、「WWDジャパン」は今後、彼らが未来を切り開く姿を伝えたり、それにより業界人や後に続く若者の背中を押したりして、われわれも2つの業界に貢献したいとの想いを忍ばせた。(この記事はWWDジャパン2021年3月29日号からの抜粋です)
10人の選出に際しては、編集部が選んだ候補に対してアドバイザーから意見をいただき、最終選出に生かしている。年齢も仕事もさまざまな先輩方の意見は、「かなり分かれるのでは?」と予想していたが、実際それほど割れなかった。
私はビューティ業界のアドバイザー3人を取材したが、彼らはいずれも今NEXT LEADERとして讃えるべきは、「仕組みを変えた人」「業界のあり方を変えられる人」と口をそろえた。そして重要なのは「視座の高さ」と続ける。「視座の高さ」とは、何か?アイスタイルの吉松徹郎社長兼最高経営責任者(CEO)は、「眼前の課題だけでなく、業界全体の仕組みそのものをもっと広い視野で見れる力」と定義する。Spartyの深山陽介社長も、「ビジネスも大事だが、視座の高さは欠けちゃダメ。世界で戦うために必要だ」と話す。深山社長が具体例として挙げたのは、ソニーを創業した盛田昭夫と井深大。2人を「日本という国のことを考え、モノ作りに挑んでいた。自分の国を誇りたいという熱量、資本主義の世の中では産業が成り立たない国は誇れないというビジネスの視点を併せ持っている」と評する。
対照的に、NEXT LEADERとしては懐疑的だと心の奥底で思っていそうなのは、「その先」が見えづらいアントレプレナーたちだった。特に“なんだか上手いことやってる”ように見えるD2Cブランドに対して、「その先は?」と問いかけたいのだろう。「セルヴォーク(CELVOKE)」の田上陽子クリエイティブ・ディレクターは、「今は誰でも“それっぽいモノ”ができるし、トレンドにのれば売ることもできる。だから『その延長線上に何があるの?』が課題」と素直に語る。同じ業界に身を置くものとして、その気持ちはよくわかる。「その先は?」に答えられない人物では、私たちはNEXT LEADERとして讃えられない。
定期購読についてはこちらからご確認ください。
購⼊済みの⽅、有料会員(定期購読者)の⽅は、ログインしてください。