アシックス(ASICS)は30日、同社が強化する“パーソナライゼーション”の取り組みを紹介するイベント“アシックスイノベーションサミット2021”を開催し、トップランナー向けの新たなランニングシューズ2種類を披露した。
シューズは、歩幅の長いストライド走法向けの“メタスピード スカイ(METASPEED SKY)”と、足の回転数を上げるピッチ走法向けの“メタスピード エッジ(METASPEED EDGE)”の2種類。両モデルは同社で最も反発性の高いフォーム材“エフエフ ブラスト ターボ(FF BLAST TURBO)”をミッドソール全面に採用した“厚底”仕様で、軽量のカーボンプレートが付く。アッパーは100%リサイクルポリエステルを使ったメッシュ素材で、部位によって編み方を変えて通気性とフィット感を向上させている。靴底の前部にカーブをつけて足首部分の動きをスムーズにし、効率よく推進力が得られる設計も特徴だ。
2種類のモデルは、それぞれに適した走法に合わせて靴底の厚みや前部のカーブの角度を調整している。“スカイ”はストライドを伸ばす機能を追求し、“エフエフ ブラスト ターボ”を多く使用して反発性を可能な限り高めている。一方で“エッジ”はミッドソールの厚みをやや抑え、足の回転数をスムーズに上げられる設計を用いている。価格は共に2万7500円(税込)。3月31日にアシックスの公式オンラインストアで発売し、4月9日から一部直営店や全国のスポーツ用品店で販売する。
イベントにゲストとして登場したマラソンの川内優輝選手は、「これまで薄底シューズにこだわってきたが、昨年12月のレースで惨敗し、選手としての限界や不安を感じていた。そんなときに“メタスピード”に出合い、新しい世界が見えた。2カ月後のびわ湖毎日マラソンで8年ぶりの自己ベストを更新し、復活どころか進化できた。このシューズで走ると姿勢が良くなり、ストライドが楽に広がる。結果もメンタルも上向いた」と絶賛。さらに「これまでの厚底は靴に走り方を合わせなければならなかったが、特性に合わせて選ぶ楽しさがある。他社でも同様の取り組みが増えれば、個々のランナーに適した厚底の選択肢が多くなり、けが防止にもつながりそうだ」と期待した。
廣田康人社長COOは「“メタスピード”は研究開発からマーケティングまで、組織を横断した特別なプロジェクトチームで作り上げた。われわれが大切にしているけが防止の機能がありながら、ランナーが鍛錬を重ねて身につけた走法を生かして最大限のパフォーマンスを引き出す。今後も、一人一人に寄り添った価値ある製品やサービスを提供していきたい」とコメントした。