LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は3月30日、2021年度「LVMHヤング ファッション デザイナー プライズ(LVMH YOUNG FASHION DESIGNER PRIZE以下、LVMHプライズ)」のセミファイナリストを発表した。
24歳の若さで「ロシャス(ROCHAS)」のクリエイティブ・ディレクターに抜擢されたシャルル・ドゥ・ヴィルモラン(Charles de Vilmorin)による「シャルル ドゥ ヴィルモラン」をはじめ、ダンサーとしての才能も持つサウル・ナッシュ(Saul Nash)が手掛ける流動性の高いデザインが特徴の「サウル ナッシュ」、上海を拠点とするシュティン・キュウ(Shuting Qiu)によるウィメンズブランド「シュティン キュウ」など、20ブランドが選ばれた。日本からは森川拓野による「ターク(TAAKK)」、緑川卓の「ミドリカワ(MIDORIKAWA)」のメンズ2ブランドが入選している。
8回目の開催となる今回のLVMHプライズでは、アンバサダーにプロテニスの大坂なおみ選手を迎える。エキスパート委員には新たに、モデルのベラ・ハディッド(Bella Hadid)、サミラ・ナサー(Samira Nasr)「ハーパーズ バザー(Harper's BAZAAR)」エディター、俳優のレア・セドゥ(Lea Seydoux)、アレクサンドラ・ヴォロニェツカ(Aleksandra Woroniecka)仏「ヴォーグ(Vogue)」ファッション・ディレクター、マーガレット・チャン(Margaret Zhang)中国「ヴォーグ」新編集長が加わる。
通常、最終選考に駒を進める8人のセミファイナリストの選出は3月のパリ・ファッション・ウイークで発表するコレクションをもとに行われてきた。今年は変化するコレクションの発表方法や感染症対策を考慮して、4月6〜11日の間、公式ウェブサイトにオンライン展示会を設立。60人のファッション業界人の審査に加えて、ウェブサイトを通して一般からの投票も募集する。
LVMHプライズを取りまとめるデルフィーヌ・アルノー(Delphine Arnault)=ルイ・ヴィトン エグゼクティブ・バイス・プレジデントは、「一般投票を通して、より多くの人がデザイナーの世界観や個性を発見するだろう。若手デザイナーは前向きで、明るい未来へのビジョンを共有している。またリサイクルした繊維の使用や新しい技法を開発に取り組むなど、環境問題への意識も高い。ジェンダーニュートラルなコレクションも多様で、新世代による多様性(ダイバーシティー)やアイデンティティー、平等に関する問題へのアプローチにはワクワクするものがある。世界中の若き才能を包括することで、多様な声を取り上げ、業界の変革につなげたい」と語った。
最終選考は6月に行われるが選考方法は4月末、ファイナリストの発表と同時に公開する。勝者は賞金として30万ユーロ(約3870万円)を受け取るほか、LVMHグループのエキスパートによる1年にわたるメンターシップ(指導)を受けられる機会を獲得する。創設当初から審査員として参加していた故カール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld)氏の功績を称えて「カール・ラガーフェルド賞」と改称された特別賞の勝者は賞金15万ユーロ(約1935万円)と、グランプリ同様に1年間の指導を受ける機会を手にする。加えて、20年と21年の卒業生の両方を対象に、ファッション学校の卒業生3人を選出する。受賞者はLVMH傘下メゾンの1つで1年間学ぶことができる。
「LVMHプライズ」は13年11月、若手ファッションデザイナーの育成・支援を掲げ、アルノー=ルイ・ヴィトン エグゼクティブ・バイス・プレジデントが中心となりスタートした。応募資格は、40歳未満で少なくとも2つのコレクションを製作していること。20年度の「LVMHプライズ」は中止となり、ファイナリストに選ばれていた小泉智貴「トモ コイズミ(TOMO KOIZUMI)」デザイナーやピーター・ドゥ「ピーター ドゥ(PETER DO)」デザイナーら8組には、グランプリ賞金を平等に分配してそれぞれ4万ユーロ(約516万円)が与えられた。