米国発のアウトドア・フットウエアブランド「キーン(KEEN)」は、4月から月間で、地球環境について考える活動「デトックス ザ プラネット(Detox the Planet)」を実施する。4月の第1弾は、フットウエアの撥水加工の工程から発生する有害化学物質“PFCs(パーフルオロアルキル物質およびポリフルオロアルキル物質)”を排除するための過程を「グリーンペーパー(GREEN PAPER)」として公式サイト内で公開。アウトドア・フットウエア業界に対して、2025年までのPFC-FREEの実現を呼びかける。
撥水加工はアウトドア業界では欠かすことのできない技術で、多くのアウトドア・フットウエア製品に採用されている。多くの撥水加工に使われるPFCsとは、5000以上のフッ素化合物の総称。自然界で分解されにくいことから“永遠の化学物質”と呼ばれ、汚染された水や廃棄物を通じて、化学物質や部品、完成品の製造が行われている環境中へと入り込み、いとも簡単に拡散する。この有害物質はエベレストのベースキャンプから人の母乳まで、どこからでも見つかり、環境や人間の健康に害を及ぼすことが判明している。
キーンは2012年から次世代に豊かな自然環境を残していくための取り組み「デトックス ザ プラネット イニシアティブ」をスタートした。サプライチェーンから有害な化学物質を特定・除去し、それらを安全かつ効果的なほかの手段に置き換え、環境負荷を最小限にした製品づくりを積極的に行っている。
キーン USのエリック・バーバンク(Erik Burbank)は、「私たちは7年間に渡り、性能に妥協することなく製品からPFCsを排除するためのプロセスを研究、開発、改良してきた。そして今では、『キーン』のフットウエアの95%以上で、PFC-FREEを実現し、その上で撥水効果も生み出している。サプライチェーンと製品からPFCsを排除することで、これまでに180トンものPFCsを削減できた。ほかのブランドも1日も早くPFC-FREEを実現できるように『キーン』の取り組みを共有したいと考えた。PFCsを排除することは容易ではないが、人体への影響や環境負荷を考えると一刻の猶予もない状況だ。モノ作りに携わる私たちが企業の壁を超えて協力することで、ポジティブな影響を加速させ、より良い地球環境へと変えることができると信じている」とコメントした。
「キーン」はアメリカ・オレゴン州ポートランドで2003年に創業。水陸両用サンダル“ニューポート(NEWPORT)”が世界中でヒットするなど、オリジナルかつ汎用性の高いフットウエアを提案する。ファミリー経営で社会貢献を経営の礎とし、出自や性別、世代を超えて「誰もがいつでも外を楽しめ、やりたいことを実現できる世界」を目指す。