ファッション

「#FR2」が移動販売!石川涼が「#FR2DOKO?」を始めた理由

 せーのの石川涼が手掛ける「エフアールツー(#FR2)」はこのほど、移動型販売店舗「エフアールツードコ?(#FR2DOKO?、以下ドコ?)」を始めた。購入希望者は全国各地を移動する黄色の販売車を、地図コミュニケーションアプリ「ゼンリー(ZENLY)」の位置情報を頼りに探す。試験的に茨城や群馬、山梨などで営業したところ、「ドコ?」の限定商品などが各地で完売し、1日の売り上げが200万円に上った。その販売場所はインスタグラムやツイッターのDMで募った、全国各地の協力者の土地だ。全国にいる「エフアールツー」のファンの元へ、「エフアールツー」が自ら出向く――ありそうでなかったこのサービスを始めた理由を石川社長に聞いた。4月12日発売の「WWDJAPAN」では、現地リポートも掲載する。

WWD:「ドコ?」を始めようと思ったきっかけは?

石川涼せーの社長(以下、石川):2回目の緊急事態宣言が出そうだったときに、このままだと今以上にみんなが移動しなくなるなと思った。1回目の緊急事態宣言(昨年4〜5月)のときは本当に酷くて、やっとお店の売り上げが戻り始めていたのに、また1回目のときのように大自粛になったらそれこそ死ぬ。それで、役員会でこっちから車で売りに行こうという話をしていたら、偶然若いスタッフが移動販売をしたいと言ってきた。じゃあやろうと、すぐに軽自動車を発注した。決め手はアパレル業界で移動販売なんてする人がいなかったから。それが一番大きい。

WWD:移動販売の目印に「ゼンリー」を採用した理由は?

石川:アプリ自体は前から知っていたけど、日本ではカップルに、浮気防止のための束縛し合うアプリとして使われていることが多くて、正直気持ち悪いなと思っていた(笑)。ただ、移動販売の場所をお客さんに知らせる方法が必要だから、それに「ゼンリー」を使うのはどうだろう?と。オープンプロフィールにして登録すれば誰でも「ドコ?」の場所を追えるようになる。それで「ゼンリー」に登録したら、一気にユーザーが増えて、承認待ちの時間が必要なほどになってしまった。それに驚いた本国(フランス)が、「ドコ?」のアイコンをわざわざ作ってくれた。

WWD:「ドコ?」を実施して、どうだった?

石川:初回は2月20日と21日で、1日目が茨城県の水戸と下妻、2日目が群馬の高崎と富岡を予定していた。ところが1日目の水戸で2日分の商品が全て売り切れてしまった。同じ日に原宿でもコラボ商品の発売があってスタッフが稼働していたから、急いで追加の商品を社用車で持ってきてもらって下妻で合流したんだけど、翌日の高崎でまた全て売り切れてしまった。商品を積めないので今は週末の1日だけ、軽自動車と社用車の2台態勢で回ることにしている。

WWD:そのときの売り上げは?

石川:軽自動車と社用車に積める分で200万円ぐらい。しかも出店場所はSNSで募っているから、場所代もかかっていない。自分の自宅の庭を使ってくださいというありがたい連絡も来る。

WWD:初期投資は?

石川:車代の100万円だけなので、初回で元は取れた。ただ、2台態勢はスタッフの稼働も増えて効率が悪い。もともとは軽自動車1台で全国を練り歩こうと思っていたんだけど、嬉しいことにそういう次元ではなくなった。だから今、一番大きいハイルーフのバンをオーダーしている。

WWD:「ドコ?」が行く場所はどんな場所?

石川:「エフアールツー」は卸をやっていないので、僕らのお店がないところを中心に回りたい。だからみんな来てくれる。

WWD:どんなお客さんが来る?

石川:カップルが予想以上に多い。多分「ゼンリー」を使って、スマホで追っている感じが楽しんじゃないかな?宝探しというか店の場所を探すところからゲームやイベントのように感じてくれている。「ドコ?」の車を追いかけている動画が(インスタグラムの)スートーリーズとかに上がっていて、それを見たときに“これはいける”と思った。お客さんのテンションを上げさせられているということなので、これは大きなウネリになるな、と。

WWD:これをきっかけにアパレルの移動販売が増えるのでは?

石川:増えると思う。洋服だけじゃなくてキッチンカーとかも。移動販売自体はもともとある方法なので。移動先でしか買えないモノが増えていくと思う。

WWD:将来的にはどうする?

石川:今は週末だけ東京から行って、帰ってこられる距離でやっているけど、本当は東北や関西みたいに各地区にそれぞれ車を分けて、平日も毎日移動しながら巡業したい。ゴールデンウイークは、何日かかけて東北を回るプランを考えている。今後は、現地の食べ物屋さんとかにも出店してもらったりして、少しでもその地域を盛り上げることができればいいなと思う。

WWD:行ったこともない辺ぴな場所で、売れないかも知れないという不安はない?

石川:でも究極は、お客さん1人でもいい。そもそも、そこまで売れると思って始めていないし。移動しながら、そのときにしか会えない人に会う。そうすれば、そのお客さんの中に思い出としてずっと残るから。そういうお客さんがのちのちECで買い物をしてくれればいいなと思う。

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