頼もしき、「もっと前に」出始めた先輩たち
「コロナ禍でわれわれは未来の世界を体験することになった。アパレルビジネスは今後6~7年後には、人口減や高齢化によって、(従来に対し)売上高が7掛け(=70%)が常態という世界になる」。
この記事に登場する、アダストリアの福田三千男会長兼社長による言葉には、ズシンと来るものがあります。
>アダストリア福田会長「アパレル市場は売上高7掛けが当たり前に」
実はまだお会いしたことがないのですが、私、福田会長のちょっとしたファンなんです(笑)。地元のショッピングモール、新静岡セノバとの販売員の働き方改革も「大したもんだなぁ!」と思ったのは、記憶に新しいところ。自分たちを取り巻くエコシステムを改善しよう、ポジティブに循環させようという想いを、ちゃんとアクションに繋げていらっしゃいますよね。
冒頭の言葉は、トップが、しかもアダストリアくらいの規模感の、(前期はコロナで減収赤字転落だったものの)堅調な会社のトップが発したことに大きなインパクトと意味がありました。アダストリアの従業員はもちろん、業界全体が「新しい時代を思い描かなくっちゃ!」というモードにシフトしますよね。福田会長は、「自分たちで業界全体をより良い未来に導こう」や「自分が前に出ることで、その想いを発信、そして拡散しよう」と、こと最近はかなり自覚的に意識していらっしゃるのではないか?そんなふうに見えるのです。
隣の業界では最近、「これからは、もっと前に出ようと思っている」と仰る経営者にお会いしました。ニールズヤード レメディーズの梶原建二社長です。オーガニック&ナチュラルコスメの先駆者は、アル・ゴア元米国副大統領によるクライメート・リアリティ・プロジェクトのリーダーも務めていらっしゃいますが、大義のためには、大きなコミュニティーの構築が必要だと感じられたのでしょう。そして、その中核に自分が立たなければならないという覚悟も。だからこその「もっと前に出ようと思っている」との言葉なのだろうと感じました。そのご覚悟を感じた時、アダストリアの福田会長を思い出したのです。
一企業では立ち向かえない社会課題への取り組みが重要度を増す中、福田会長や梶原社長のように「トップの自分が、前に出て、業界の合従を説かなければ」と感じてくださる経営者は、きっと増えることと思います。頼もしいし、私たちは、そんな頼れる先輩がいる業界で働けているんだ感じています。そしてメディアの仕事は尚更そんな想いを持つ方々を「つなげること」になるのだろうなぁ、と私も「新しい時代」を思い描いている今日この頃です。
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