服地卸大手のスタイレム瀧定大阪の21年1月期決算(未上場)は売上高が前期比26.6%減の694億円と大幅な減収を強いられたものの、営業利益は3100万円(前期は20億1700万円)と黒字を確保した。売上総利益率は同1.4ポイント悪化の13.7%だった。瀧隆太社長は「業界自体が縮小しており、コロナが収束したとしても元には戻らない」との見方を示した上で、「前期(21年1月期)はそうした中でも黒字化できる態勢を整えた」という。特別損失に構造改革費用として10億8500万円を計上した。
品目別の売上高は原料が同63.6%減の16億6400万円、生地が同26.6%減の374億円、衣料製品が同23.1%減の253億円、ライフスタイル製品が同20.0%減の30億4400万円、その他が同13.9%減の19億300万円だった。酒向正之代表取締役副社長は「残っているブランドも多くが型数を絞り込み、初回生産の数量も減らしている。その一方で売れたものを追加で生産していくやり方が増えており、これまで以上に現物へのニーズが高まっている。ニーズを先読みして、求められる在庫をストックする、当社本来の機能が求められている」という。
また、「コロナ禍が出張経費などを見直すいいきっかけにもなった。移動が制限されていることもあるが、19年度に比べると出張経費は今期も7掛けくらいのイメージ。その分デジタルトランスフォーメーションを進め、経費を圧縮する。一方で当社の本質的な役割である、ニーズを見極め在庫を積むということに関してはデータを活用しつつも、最終的には人間の力がモノを言うし、その部分に関しては『失敗してなんぼのもん』。リスクを取って思い切ってやっていく」と瀧社長。
22年1月期の売上高の見通しは公表していないものの、「21年1月期の10%増を計画している」(酒向副社長)。