エスティ ローダー カンパニーズ(ESTEE LAUDER COMPANIES 以下、エスティ ローダー)は日本未上陸のメイクアップブランド「ベッカ コスメティックス(BECCA COSMETICS)」とスキンケアブランド「ロダン オリオ ルッソ(RODIN OLIO LUSSO)」を終了する。同社は新型コロナウイルスの影響を受けて戦略プラン「ポストCOVIDビジネス・アクセラレーション プログラム」を掲げており、業績が振るわない店舗の閉店やブランドの終了を行っている。今回のブランド終了はその一環だ。
「ベッカ」は9月にブランドを終了し、全社員が解雇される。同ブランドは2001年に創業し、ハイライターをはじめとするベースメイクアップが有名だ。近年はインフルエンサーやセレブとの協業に積極的で、ビューティインフルエンサーのジャックリン・ヒル(Jaclyn Hill)とコラボした“シャンパンポップ”ハイライターは大ヒットを記録しブランドを代表する製品になった。SNS戦略も奏功し急成長する中、16年にエスティ ローダーが2億3000万ドル(約253億円)で買収したとされている。しかし新型コロナウイルスの影響でメイク需要が下がる中、大きな打撃を受け売り上げを落としていた。
「ロダン オリオ ルッソ」は公式ECを4月19日に閉店し、卸先は在庫がなくなり次第取り扱いを終了する。同ブランドは07年にモデル兼スタイリストのリンダ・ロダン(Linda Rodin)が立ち上げたブランドで、フェイスオイルを筆頭にスキンケアを主軸とする。現在72歳のリンダだが、年齢に関係なく自由にファッションやビューティを楽しむ姿とそのセンスの高さで多くから注目を集めてきた。ボディーケアやメイクアップも手掛けており、モデルやメイクアップアーティストなどからも支持されている。製品は自然由来の原料を用い、シンプルな処方にこだわっている。10月には同じくエスティ ローダー傘下のフレグランスブランド「ジョー マローン ロンドン」とのコラボコレクションを発売予定だ。
エスティ ローダーは「20年8月に発表した『ポストCOVIDビジネス・アクセラレーション プログラム』を通じて、われわれは今後長期的な成長を見込めるビジネスに集中する。その中で非常に難しい決断も必要となり、今回のブランド終了に至った」とコメントを発表している。2月にはカナダの化粧品メーカー、デシエム(DECIEM)を買収すると発表しており、今後はスキンケアへの投資を強化するとされている。