アシックスは今年3月にデビューしたオリジナルブランド「ウノハ(UNOHA)」の立ち上げに伴い、20〜30代の女性社員を中心に構成するプロジェクトチーム「ウィメンズ クリエイティブ スタジオ(以下、WCS)」を19年に発足させた。同社は23年までにグローバル全体で女性の管理職比率を約3割まで引き上げることを目指し、女性社員が積極的なキャリアビジョンを描くためのサポートなどを行う。同社にとって初の試みとなった同プロジェクトを率いる三浦亜友マネジャーに話を聞いた。
WWD:これまでのキャリアは?
三浦亜友アシックス「ウィメンズ クリエイティブ スタジオ」マネジャー(以下、三浦):もともとスポーツが好きで大学卒業後はアシックスに入社し、10年間スポーツ工学研究所で研究員として働いていました。走る動作を研究して必要な機能を製品に反映したり、生地やスパイクの研究をしたりしていました。
WWD:まさに女性がマイノリティーの分野な気がするが、キャリアを進める上で障壁を感じることはあった?
三浦:そうですね。入社当時は男性ばかりの職場でしたが、年々女性の割合も増えています。研究員時代にも積極的に自分の意見を発信したり、社内のリーダー研修などにも参加していたりしたことが、今回「WCS」のマネジャーに抜擢された要因になったのだと思います。もちろん、重い実験器具を運べないなど体力的なハンデはありましたが、自分のできることとできないことを明確にして、コミュニケーションを取ることで肩肘張らずにさまざまなことに挑戦できています。特にアシックスは数年前からフルフレックス制を採用し、個人の裁量で時間の管理ができるのでライフプランとキャリアプランの両立に難しさを感じませんでした。
WWD:現在の女性管理職の割合は?
三浦:2020年3月末時点で、アシックスヘッドクオーターの女性管理職比率は約11%です。23年にグローバル全体でこの比率を35%まで引き上げることを目指しています。私の同期でも管理職が出始めている状況で、数値の達成は難しくないと感じています。
WWD:「ダイバーシティ&インクルージョン」の具体的な取り組みは?
三浦:ダイバーシティへの理解を浸透するための社内研修などが行われています。「WCS」もその一環ですが、これまでスポーツの分野で注目されてこなかった多様な視点を学ぶことで、時代に沿ったモノ作りにつなげられると思います。
WWD:女性をはじめ、もっと幅広い層にスポーツを楽しんでもらうためには何が必要?
三浦:女性が社会で活躍する土壌は大前提です。あとは、スポーツの捉え方を広げていく努力が必要です。健康のためのスポーツ、自分が心地よく生活するためのスポーツなど、競うだけではないスポーツのあり方を「ウノハ」を通して伝えていきたいです。私たちのチームメンバーは「ウノハ」のターゲット世代を中心に構成しています。メンバーの共感から生まれるモノ作りが強みですが、共感ばかりでは視野が狭くなることも。そのバランスを取ることが私の役目だと思っています。どんな時でも広い視野を持ち、チームを引っ張っていきたいです。