オンワードホールディングス(HD)は、2030年に向けた中長期ビジョンを発表した。ライフスタイル事業をアパレル事業に並ぶ柱に育てつつ、30年度(31年2月期)に売上高3000億円、営業利益250億円を目指す。実現に向けて3年内に生産から企画、販売、マーケティングなどの仕組みを再構築する。
「簡単ではないが、ファッション企業としてのあり方を根本から再定義する必要がある」。8日に電話会議方式で行われた21年2月期(前期)の決算説明会で保元道宣社長が強調した。同社は19年10月から着手したグローバル構造改革で国内外の約1700店舗を閉鎖。店舗数をほぼ半減させたところにコロナに直撃され、「前期は740億円の売上高、4割近くの粗利益が消失する激震に見舞われた」(保元社長)。行き詰まりをみせていた百貨店を主販路にした伝統的な事業モデルを刷新する機会と捉え、新ビジョンを推進する。
30年度の売上高計画3000億円(21年度の予想は1905億円)の内訳は、アパレル事業が2000億円(同1497億円)、ライフスタイル事業が1000億円(同408億円)を想定する。営業利益計画250億円(同32億円)の内訳は、アパレル事業100億円(同10億円)、ライフスタイル事業150億円(同22億円)とする。23年度(24年2月期)までの3年間はコロナの影響の長期化を織り込んで事業モデルの整備にあて、その後の高度成長につなげる。
成長のけん引役と位置づけるライフスタイル事業は、ダンス・ウエルネスのチャコット、化粧品の「プロダクト(PRODUCT)」、ペット用品のクリエイティブヨーコ、食品ECの「オンワードマルシェ」、ギフトのヤマトといった既存の子会社やブランドの底上げに加えて、M&A(企業の買収・合併)も積極的に行う。
主力のアパレル事業ではOMO(オフラインとオンラインの融合)を強力に進める。在庫の一元化だけでなく、オウンドメディア、SNS、ライブコマースなどの新しい手法を通じて、消費者との双方向の関係性を作る。都心に偏っていた出店立地も郊外の消費者の生活圏に出ていく。EC売上高は1000億円(同500億円)を目標にする。