ファッション

100年目の「グッチ」が時計でも見せた本気 初のオリジナルムーブメントなどを発表

 2021年にブランド創設100周年を迎えた「グッチ(GUCCI)」が、時計カテゴリーにおいても本気を見せた。同ブランドにとって22年は、スイスでの時計製造本格化50周年にもあたり、ダブルアニバーサリーに合わせて魅力的な新作を多数発表した。

 大きなアクションは2つある。まず1つ目は、時計の心臓部であるムーブメント“GG727.25”の開発だ。スイスにあるケリング(KERING)の開発・製造施設で作られた「グッチ」初のオリジナル自動巻きムーブメントにより、「グッチ」はマニュファクチュール(時計を自社一貫製造する時計メーカー)に生まれ変わったと言える。“GG727.25”の厚さは3.7ミリメートルで、新たに発表された“グッチ25H”ラインに搭載される。

 モノグラムや愛らしい図案使いが特徴だったこれまでの「グッチ」の時計に比べて、“グッチ25H”は驚くほどスマートな印象だ。このあたりにも「グッチ」の本気度が見える。現在、時計において最大の売れ筋は“ラグジュアリー・スポーツ”と呼ばれるジャンルであり、同モデルはそのマトリックスの中心に入る。価格もステンレススチールモデルで113万円(予価、今秋発売予定)と、百貨店や時計専門店で最も売れているゾーンだ。

 これまで「グッチ」の時計は、一部のスペシャルピースを除きアンダー10万円から数十万円が主流だった。高価格帯の投入で、幅広い顧客層を維持しながらラグジュアリー化する戦略は、2年ほど前から注力するジュエリー同様だ。

 そして2つ目のアクションが、ハイジュエリーウオッチへの挑戦。「グッチ」のグラマラスかつユニークな世界観を、金細工やプレシャスストーン、さらにクラフツマンシップを用いてアートに表現する。これらは、19年にパリのヴァンドーム広場にオープンしたファインウオッチ&ハイジュエリー向けブティックで予約販売する。

 上記以外にも、“G-タイムレス”ラインでは「グッチ」の代表的モチーフの一つであるビー(蜂)が文字盤の上で手の動きに合わせて揺れる“ダンシング ビー”を発表し、19年にクリエイティブ・ディレクターのアレッサンドロ・ミケーレ(Alessandro Michele)が初めてデザインした時計である“グリップ”では“ジャンピングアワー”(文字盤に設けた小窓から見える数字がジャンプして瞬時に替わる仕様)をリリースした。

 ラグジュアリーブランドの時計をめぐっては00年ごろから、ムーブメントやパーツメーカーの買収が増加し、マニュファクチュール化の動きが顕著になった。「シャネル(CHANEL)」「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」「エルメス(HERMES)」などが先行し、「グッチ」はそれとは別に独自のファッション路線を進んでいたが、「ラグジュアリーブランドで初めて1972年にスイスで時計製造を本格スタートした」(ブランド担当者)自負もあり、今年一気にシフトした。

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