インテリアのセレクトショップ「ザ・コンランショップ(THE CONRAN SHOP以下、コンランショップ)」が3月31日、伊勢丹新宿本店5階にオープンした。オープン直後の週末に足を運んでみたが、売り場は多くの人々で賑わいレジに列ができるほどだった。家具を選ぶ夫婦から子ども連れ、デザインに興味がありそうな若いカップルや、テーブルリネンを選ぶ女性までさまざま。私の友人も、「軽量でPC入れる仕事用バッグに便利」と「コンランショップ」オリジナルのトートを購入した。「コンランショップ」は2016年にも同フロアに出店していたが、1年経たずに閉店。再出店に至った経緯について、両社の担当者に話を聞いた
インテリア担当の私は、伊勢丹新宿本店に行くと必ず5階のリビングフロアに行くのだが、その下のファッションフロアでのショッピングがお目当ての人が多いだろう。ところが、新型コロナウイルス感染拡大による“おうち時間”の増加により、以前は5階まで上がってこなかった新客が増えているようだ。
“生活に彩り”需要をオン・オフで取り込む
伊勢丹新宿本店の5階リビングフロアを担当する三越伊勢丹 新宿ライフデザイン営業部の原宏史氏は、「“おうち時間”用の買い足し需要が見られたが、約1年の自粛が続いているため、今でも継続的にその需要は見られる」と話す。「コンランショップ」再出店に関しては、「『生活に新しい彩りを取り入れたい』『もっと便利に買い物がしたい』という声を反映したのが新『コンランショップ』だ」と言う。
新「コンランショップ」は5階リビングフロアの中心にあり、花器やフォトフレーム、クッションなど雑貨が中心だった以前の店舗の約5倍の広さ。新店舗では、代表的な名作家具から、テーブルウエア、雑貨、オリジナルグッズまで約100ブランドから1000点以上もの商品をそろえる。しかも、三越伊勢丹のECや三越伊勢丹リモートショッピングアプリ(以下、リモートアプリ)を利用してのショッピングも可能だ。三越伊勢丹が持つこれらECやリモートアプリによるシームレスなサービスに関してもシナジーが期待できると両社の意向により出店が決定した。ECでは、品ぞろえを店舗以上に充実させ、店舗のないエリアの日本全国の消費者一人一人のニーズに合うショッピング体験を提供する。
新型コロナによる“おうち時間”増加で変わる消費
ザ・コンランショップ ジャパンの塩原道マーケティング兼VMDマネージャーは、「コロナ禍で激変する新しい価値観に寄り添った暮らしのスタイルを提案する場として出店した。時代に沿った『コンランショップ』らしいモダンでインスピレーションに溢れたスタイリングを通して、優れたデザインに囲まれた豊かな暮らしや快適なリモートワークなどを提案したい」とコメントしている。暮らしが変われば、消費も変わる。冬が長く自宅で過ごす時間が長い北欧の人々が、快適な家作りに重きを置くように、新型コロナ感染拡大により世界中の人々が自宅の暮らしを見直すことにより、新たな需要が生まれ、それがインテリア業界好調につながっている。また、今まで以上に消費者の利便性が重要視される時代で、オン・オフのシームレスなショッピング体験の提供が鍵となるだろう。