高島屋の2021年2月期連結業績は、売上高に相当する営業収益が前年同期比25.9%減の6808億円、営業損益が134億円の赤字(前期は255億円の黒字)、純損益が339億円の赤字(同160億円の黒字)だった。
主力の百貨店事業の営業収益は前期比27.3%減の5704億円、営業損益は213億円の赤字(前年同期は69億円の黒字)だった。新型コロナウイルスの影響で、国内では20年4〜5月にかけて「緊急事態宣言」により店舗が休業し、以後も販売は低調に推移。渡航制限による免税売上高のダメージ(前期比91.3%減)も響いた。海外事業でもASEAN諸国や中国の店舗が打撃を受けた。上海高島屋は1〜3月に営業時間を短縮。ホーチミン高島屋は3〜4月、サイアム高島屋は3〜5月、シンガポール高島屋は4〜6月に臨時休業した。店舗休業関連損失を特別損失103億円として計上したため、最終赤字が拡大した。
これを受けて24年2月期を最終年度とする3ヵ年計画を発表した。同期末に営業収益8500億円、営業利益は300億円を目指す。3年間での投資金額は計1400億円。中核事業である国内百貨店の持続的成長のため、特に大型店の再生に注力する。中でも客離れが進む衣料品カテゴリーの再構築は重要テーマだ。同社の衣料品・雑貨のカテゴリーは、約1割の取引先企業の売り上げで、全体のボリュームの6割を占める構造になっている。「今後はこれら大手アパレルとの取り引きを中心に見直しを進め、商品開発や販促などでもより密接に協業していく」。
また、「スタイル&エディット(STYLE &EDIT)」などの自主編集フロアを中心に、デジタルを活用した体験型の販売手法やエイジレス、ボーダーレスといった新たな価値観の提案、新規デザイナーの開拓などで魅力の創出を目指す。並行して、人件費を中心としたコスト構造改革を進め、24年2月期末までに216億円の販管費削減を目指す。
22年2月期連結業績は、営業収益8120億円、営業利益130億円、純利益100億円を予想する。営業収益はコロナ禍以前の水準には満たないものの、コスト削減効果(78億円分)で黒字転換を目指す。