真面目ほどハイブリッド?
アダストリアの記事には、毎回学びがあります。企業はもちろん、取材している五十君副編集長も「スゴいな」と、常々感じております(笑)。
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子会社による循環型のEC専業ブランド「オー・ゼロ・ユー」については、福田取締役の「(来場者からのマイナスの評価は)『真面目すぎる』といった声。柄の提案もなかったし、アダストリアが強みとしている“Play fashion!”の部分、つまりファッションのもたらすワクワク感がやや薄かった。それをどこまで反映させていくかもこれからだ」の部分、ヒザを打ちました。
弊社にも、真面目な若手記者がいます。社会課題への関心は私よりもはるかに高く、サステナブルやフェムテックに関するコンテンツ制作に積極的。その姿は頼もしい限りゆえ、新体制づくりに伴う面談では、「やりたいことを、やりたいように、やればいい」とのメッセージを発信したつもりです。
ただ、1つだけ注文したのは、「ファッションの楽しさ」も追求して欲しいこと。ゆえに、楽しいファッションにいっぱい触れられそうな世界も、自分のフィールドに加えてみては?と打診し、引き受けてもらいました。改めてファッションの、福田取締役が言うところのプレイフルな部分を感じ、その感覚を大事にしながら社会課題に関するコンテンツを発信してほしいな、と思います。
パーソナライズヘアケアブランドの「メデュラ」などを手がけるSpartyの深山陽介代表は個人的な話としながらも、「あまり正論ばかり言う人には心が引かれない。一方的に正論を言われても、人は動かない。例えばサステナビリティやフェムテックなど昨今あらゆるトピックスが話題になっているが、当たり前なことをそのまま言われるだけでは、いくら大事だと分かっていても、人はなかなか行動に移さない。いかにクリエイティブな方法で人を動かせるパワーを持っているか。感動や楽しさで人の心を動かせるかが大事だと思う」と言います。私も同感。だから上述の若手には、ファッションへの取材を通してクリエイティブを学び、その感覚を社会課題を解決しようとしている人々に還元して欲しいのです。
コレって別に、社会課題とファッションならではのクリエイティブ、だけの話じゃないですよね。同じく別の記者からは面談の中で、「アパレルの取材を続けてきたが、取り組めば取り組むほど暗いニュースを発信する機会も増え、『本当に業界に役立っているのか?』と思うようになってきた。だから違う世界にも触れ、そこで学んだことをアパレルに還元したい」との想いを聞きました。よくぞ言った!5月からは、アパレルとビューティのハイブリッドです(笑)。
と、5月以降、WWDJAPANの記者数名は、ハイブリッドに進化します。いきなり別のフィールドから記者がやってきても、皆様、温かく出迎えてくださいませ。そのうち、隣の業界の良いところを教えてくれる貴重な存在になるハズです。
真面目な人ほど、ハイブリッドな方が生きるのではないか?そんなことを考える今日この頃です。
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