季節の変わり目に買い足す人も多い化粧水はこの時期、各社から新商品が登場する。今回は、百貨店の「伊勢丹新宿本店」「阪急うめだ本店」と、セレクトショップの「コスメキッチン」の21年3月の「化粧水」売り上げトップ5から、人気商品の傾向を紐解く。
【伊勢丹新宿本店】
前年同月比20%増と好調。ギフト需要は、リップからミストなど多様化へ
1位 「イプサ」“ザ・タイムR アクア”(200mL、4400円)
2位 「アルビオン」“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル” [医薬部外品](300mL、9350円)
3位 「クラランス」“フィックス メイクアップ サクラ(数量限定品)”(50mL、4400円)
4位 「ディオール」“ディオールスキン フォーエヴァー メイクアップ フィックス ミスト”(100mL、4950円)
5位 「コスメデコルテ」“コンフォート デイミスト セット&プロテクト”(60mL、3300円)
三越伊勢丹の片岡春久・化粧品グループ化粧品営業部新宿化粧品スーパーバイザーはベスト5について、「1位の『イプサ(IPSA)』は、さらっとしたテクスチャーで、乾燥やテカリなどの肌悩みを抱える20代に人気。口コミやSNSなどを参考に、初めて『イプサ』を買う人も多い。2位の『アルビオン(ALBION)』はさっぱりとした使用感でながら、肌がしっとりと潤う。年代問わず長年愛用するリピーターが多い。3位は『クラランス(CLARINS)』の限定ミスト化粧水。桜を連想させる香りと限定パッケージが人気を集めた。4位の『ディオール(DIOR)』は、ファンデーションの密着感を高め、マスク着用時に気になるメイク崩れをカバーする。5位の『コスメデコルテ(DECORTE)』は、キメ細かなミストでメイク崩れを防ぐ。可愛らしいフォルムでギフト需要も高い」と話す。
全体については「化粧水は前年同月比20%増と好調。メイクのマスクへの付着、メイク崩れ、テカリ、乾燥といった悩みが増え、メイクをキープするミスト化粧水が人気。また、ギフト需要はリップからミストなど、他のアイテムへと変化している。SNSや口コミを参考に人が多い」と話す。
【阪急うめだ本店】
季節の変わり目でスキンケアニーズが増加
1位 「イプサ」“ザ・タイムR アクア”(200mL、4400円)
2位 「アルビオン」“薬用スキンコンディショナー エッセンシャル” [医薬部外品](110mL、3850円)
3位 「クレ・ド・ポー ボーテ」“ローションイドロA n”(170mL、1万2650円)
4位 「SK-Ⅱ」“フェイシャルトリートメントエッセンス”(75mL、9350円)
5位 「クリニーク」“クラリファイング ローション2”(100mL、2750円)
阪急うめだ本店の大隅かおりビューティー営業統括部化粧品商品部バイヤーはベスト5について「1位の『イプサ』は、水のように軽い質感で、みずみずしい感触が持続する使い心地の良さが特徴。年代を問わず、一度使えばリピートする人が多い。2位の『アルビオン』は、マスクの着用などでゆらぎがちな肌のコンディションを整え、男性の愛用者も増加している。3位の『クレ・ド・ポー ボーテ(CLE DE PEAU BEAUTE)』は、とろみのあるテクスチャーで、潤いを実感できる。キメを整え、透明感のある肌に導く。4位の『SK-Ⅱ』は、さっぱりとした使い心地だが、肌なじみがよく、しっかりと潤う。独自の天然由来成分ピテラ™を配合し、年齢に応じたケアができる。5位の『クリニーク(CLINIQUE)』は、古い角質を取り除く拭き取りタイプの化粧水。肌に透明感を演出し、乳液や美容液などを浸透しやすくする働きも」と話す。
全体については「マスク着用や花粉による肌荒れ、季節の変わり目などによるニーズで、化粧水をはじめとするスキンケアアイテムの売上は、前年同月比25%増と好調。緊急事態宣言解除前と比較してもカウンセリングのニーズが増加した」と明かす。化粧水以外で好調だったアイテムは、「ハンドケアスプレーや入浴剤、ボディケアなどのほか、地球にも自分にもやさしく、おうち時間を充実させるアイテムが好調だった」と振り返る。
【コスメキッチン】
1位は不動の「エッフェオーガニック」。敏感肌向けも多数ランクイン
1位 「エッフェオーガニック」“モイスチャ―ローション”(150mL、4180円)
2位 「ファミュ」“オードカメリア”(190mL、4620円)
3位 「エッフェオーガニック」“カーミングローション”(120mL、3850円)
4位 「トーン」“ミルクリッチローション(M)”(155mL、3740円)
5位 「チャントアチャーム」“ローションR”(150mL、2420円)
渡邊周子コスメキッチンPRは、ベスト5について「1位の『エッフェオーガニック(F ORGANICS)』は、コスメキッチン化粧水部門で7年連続売上1位を誇る人気アイテム。ヒアルロン酸の5倍以上の保湿力を持つ成分“サクラン”を配合した、リッチなとろみの高保湿化粧水だ。ローズ&イランイランの香りで、男女問わず使いやすいパッケージデザインが特徴。2位の『ファミュ(FEMMUE)』は、ビタミンとミネラルが豊富なノンアルコール化粧水。外的刺激で敏感になった肌を優しく落ち着かせる。椿の花エキスをベースにした処方で、肌状態を健やかな状態へと整える。3位には『エッフェオーガニック』の敏感肌向けラインがランクイン。肌荒れのメカニズムを考え、鎮静・バリア・ターンオーバーに特化した共通成分がさまざまな肌悩みにアプローチする。 エコサート認証を取得した“カーミングライン スキンケアシリーズ”は、マスク荒れの悩み増加にともない、売り上げを伸ばしている。ウッディーフローラルの香りが、疲れが溜まりやすい今の時期に支持されている。4位の『トーン(TO/ONE)』は、20年に限定発売し、即完売した“ミルクリッチローション”をリニューアル。定番品として発売すると、復刻版ということもあり人気が再燃。リッチな潤いと、なめらかな肌馴染みが特徴。米由来成分をはじめ、2種類の植物幹細胞エキスを新たに配合し、肌の土台を整え保湿力もアップする。5位の『チャントアチャーム(CHANT A CHARM)』は、とろみのあるテクスチャーで、肌をみずみずしくふっくらと整える。コロナ禍で生活を見直し、オーガニックコスメを選ぶ人が増えている。『チャントアチャーム』は初めてのオーガニックコスメとして使用する人も多く、継続買いしやすい価格も魅力」と語る。
全体については「前年同月比2.4%増となった。特に、『エッフェオーガニック』は好調で、1位の“モイスチャーローション”は前年比ほぼ横バイながら、売上構成比は33%と非常に高い。『トーン』 は、3月の化粧水カテゴリーにおいて最も伸長率が高いブランドとなった。マスク生活が当たり前になり『肌のごわつき』や『化粧水の入りが悪くなった』『かぶれてしまいスキンケアが染みる』といった悩みが急増した。拭き取り化粧水、プレ化粧水の需要が高くなったと感じる」と明かす。また、化粧水以外で好調だったのは、「ウカ(UKA)」。「リニューアルしたヘアケアや、頭皮用ブラシ“スカルプブラシ ケンザン”(2200円)が売り上げを牽引する」と話す。