ECモール「スタイルヴォイス ドットコム(STYLEVOICE.COM)」が4月26日にリニューアルオープンする。これまでの出資企業(マッシュホールディングス、ジュン、デイトナ・インターナショナル)を中心とした出店構成から刷新。インフルエンサーやタレントをディレクターに据えたオリジナルのD2Cブランドやコラボ企画を事業の主軸としたECサイトとして再始動する。またリニューアルと合わせて合弁企業スタイルヴォイスの資本構成も変更する。マッシュHDはデイトナ・インターナショナルの持ち分を取得したことで全体の過半数の株式を保有する形となり、新たにサイバーエージェント、メディコム・トイが3月31日付で加わった。
2019年11月にマッシュHD、ジュン、デイトナ・インターナショナルの3社が合弁会社スタイルヴォイスを設立し、同ECをスタートした。出資3社のブランドを中心に、ファッションやビューティ、グルメ、雑貨に渡る約45ブランドをそろえた。大きな特徴が、オウンドメディア「SVマガジン」を併設したこと。スタイリストの大草直子氏や白幡啓氏、ファッションフォトグラファーのシトウレイ氏らインフルエンサーや人気モデルをキュレーターに起用し、記事コンテンツを頻度高く投下するなど、情報発信とのシナジーを重視した運営を行ってきた。
今回のリニューアルを境に、スタイルヴォイス社プロデュースのD2Cブランドを含めて、オリジナル企画の構成比を売り上げ全体の8割まで引き上げる計画だ。女性ファッション誌の編集長を歴任した片山裕美スタイルヴォイス社長ら編集企画チームが、D2Cブランドの立ち上げから商品企画、生産、運営などを含めディレクターと二人三脚で進めていく。生産背景はマッシュHDがバックアップする。
新たなサイトの方向性を見出すきっかけになったのが、20年春の「ワンマイルウエア企画」。デザイナー川島幸美氏が「スタイルヴォイス ドットコム」限定で開発・販売した商品が1週間で完売したほか、秋には剛力彩芽やインフルエンサーの中村麻美を起用した企画もヒット。「SVマガジン」のコンテンツとSNSを駆使した立体的な発信も効果的に働いた。4月1日からリニューアルオープンに先行して、ファッションインフルエンサー3人をディレクターユニットにしたブランドをスタート。リニューアル翌日の27日には、モデル・女優の山田優とのルームウェア企画、8月には黒田知永子との企画など、年内に全10ブランドを発表する予定だ。また、リアルの場でのポップアップストア出店にも力を入れる。5月24日からはルミネ新宿2に「スタイルヴォイス ドットコム」の屋号で出店し、オリジナルD2Cブランドなどのアイテムを販売予定。「『スタイルヴォイス ドットコム』のECサイトに限らず、リアルでもオンラインでも販路を広げていきたい。また新たに出資に加わっていただいた2社を含め、生産、流通、メディア、企画などでマルチに連携し、お客さまに向けて熱量ある発信を続けていきたい」と片山氏。
サイバーエージェント、メディコム・トイの出資により、発信面とコンテンツ面の双方で厚みを出す。年始にマッシュHDの近藤広幸社長からサイバーエージェント藤田晋社長、メディコム・トイの赤司竜彦社長それぞれとの話し合いの場が設けられ、その場で投資が決まった。サイバーエージェントには「メディア運営や発信にまつわる豊富な知見」を、メディコム・トイには「バズを生むコンテンツの起爆剤」としての相乗効果を期待する。「出店者と運営側がアイデアを持ち寄って、独自のブランドや商品企画や出店者同士のコラボなどの化学反応が次々と起こる、今までにないECメディアにしていきたい」(片山社長)。