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「行ったり来たり」の思考法 エディターズレター(2021年4月21日配信分)

※この記事は2021年04月21日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

「行ったり来たり」の思考法

 昨日、WWDJAPAN主催のファッション&ビジネストレンドセミナーが無事に終了しましたので、これからは心おきなくトレンドを語ろうと思います(笑)。

 以前もこのお手紙でお話しましたが、2021-22年秋冬、いや以降重要になるだろうトレンド、もとい潮流は、「何を着る?」より「どう着る?」です。トレンドを見出してきた自分たち自身を若干否定しているように聞こえるかもしれませんが、究極、特にランウエイに出てくるアイテムについては「注目したほうがいいけれど、囚われるほどじゃない」って、心の底から思っています。強いて、それでも強いて挙げるとすれば、私が注目しているのはアンクル~ニーハイブーツでしょうか?「グッチ」の乗馬ブーツは、ドンズバでしたね!!10年ぶりにヒットし始めたブーツが流行ると、ボトムスが変わります。若い世代ではミニスカートやショートパンツ、もう少し大人な世代ではフレアスカートあたりが合わせやすいでしょうか?長年のワイドパンツブームが、いよいよ変わり始めるかもしれません。

「グッチ」アリア・コレクション

 そのブーツにミニ丈のボトムスを合わせると、「シャネル」のツイードジャケットを着ても、「ヴァレンティノ」のコクーンコートを羽織っても、「ディオール」の真っ白なブラウスを合わせても、ぱっつん前髪&キャットアイなら、みんなBLACKPINKや小松菜奈ちゃんに見えるのは、各ブランドが配信した今季のムービーで証明済みです。そしてこれぞ、まさに「何を着る?」より「どう着る?」の時代なんだと思います。つまるところ、「選ぶのは洋服じゃない、コーディネートなんだ!!」という時代。そう思って隣の業界を見てみると、ビューティもまさに「何をつける?」より「どうつける?」だったり、「何色に染める?」より「どう染める?」だったりするので、面白いなぁ、と思っています。

 具体的にお話しましょう。例えばビューティでは、「合いの子」アイテムが増えているという話をしたことがありますが、アイシャドウにもチークにもとか、オイルにもティントにもなんてアイテムは、まさに「何をつける?」より「どうつける?」です。ヘアの世界では「バレイヤージュ」、ほうきで砂場をはいた時に残る痕跡のようなハイライトが流行っていますが、それはスタイリング次第で千変万化だからなんだとか。「何色に染める?」よりも「どう染める?」な気がしませんか?

 そこで重要になるのは、接客です。最近ヘアの世界では、「変わりたいと思っているお客様は多い。でも、どう変わりたいかまでは分からない、決めていないお客様も多い」と聞きます。だからこそ重要なのはコンサルにも似た接客で、コミュニケーション能力が高いベテランスタイリストを指名するケースが増えているそうです。

 さぁ、もう一回、話をファッションに戻しますよ(笑)。「変わりたいと思っているお客様は多い。でも、どう変わりたいかまでは分からない、決めていないお客様も多い」のは、ヘア業界だけじゃありませんよね?ファッションの世界も全く同じでしょう。となるとスタッフは、オンでもオフでも、サロンスタイリストのようなカウンセリング的アプローチを強化すべき!!そんなアイデアにたどり着くのではないでしょうか?

 今日はファッションからコスメ、そしてヘア、さらにファッションと行ったり来たりしました。普段なら「行ったり来たりの原稿は、読みづらい」と指導するところですが、こんな「行ったり来たり」は今後、欠かせなくなるでしょう。

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