企業が期ごとに発表する決算書には、その企業を知る上で重要な数字やメッセージが記されている。企業分析を続けるプロは、どこに目を付け、そこから何を読み取るのか。この連載では「ユニクロ対ZARA」「アパレル・サバイバル」(共に日本経済新聞出版社)の著者でもある齊藤孝浩ディマンドワークス代表が、企業の決算書やリポートなどを読む際にどこに注目し、どう解釈するかを明かしていく。今回はコロナ禍での12カ月を終えたインディテックスの決算を解説する。(この記事はWWDジャパン2021年4月12日号からの抜粋です)
今回は「ザラ(ZARA)」を擁するインディテックス(INDITEX)の2021年1月期決算を読み解いていきます。まず、売上高も粗利もおよそ前期の7割でしたが、販売管理費を抑えて営業利益を出しています。前期のおよそ3割という数字ですが、営業利益率でいえば7.4%。この営業利益率、ファーストリテイリング(FAST RETAILING)の20年8月期とほぼ一緒の数字です。ファーストリテイリングは期の半分はコロナの影響を受けませんでした。その点、今回のインディテックスの決算は20年2月スタートなので、丸一年コロナの影響を受けています。にもかかわらずこの営業利益率は立派だと思いました。
彼らは期中作り足し型のビジネスモデルなので、もともと在庫調整はすごく上手なのですが、四半期ごとの期末在庫も前年対比で低い水準で着地しています。第4四半期だけ前年同期を上回っている格好になっていますが、それは前年同期に在庫の評価減をしたからです。評価減前と比較すると90.8%なので、年間を通してほぼ9掛けくらいの在庫水準でした。
その秘訣は仕入れ調整です。2月8日号で損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)から仕入れ額を計算する方法を紹介しましたが、通期で前年比75%。特に在庫を第1四半期で89.9%、第2四半期で81.0%に抑えられたのはすごいの一言です。
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