「無印良品」(良品計画)は4月23日から、12種の飲料のパッケージをペットボトルからアルミ缶に切り替える。今後、残りの飲料のパッケージも順次切り替え、最終的に全17種の飲料全てがアルミ缶となる。「アルミはリサイクル率が高く、循環型資源とされている」(嶋崎朝子・執行役員食品部長)ことから、「感じ良いくらしと社会」の実現を掲げ、「ESG経営のトップランナー」を目指す良品計画として決定した。
アルミは「既にリサイクルの回収ルートが整備されており、リサイクル率が97.9%と高い。また、『缶から缶へ』の水平リサイクル率も66.9%と高く、アルミ缶は7〜8回水平リサイクルができるというデータもある。再生アルミの生産は、バージン素材からアルミを作るのに対しかかるエネルギーを97%削減できる」と嶋崎執行役員。また、アルミの遮光性の高さ、透過性の低さによって、飲料の光による酸化や、炭酸の抜けなども比較的抑えることができ、賞味期限をお茶で40日、炭酸飲料で90日延ばすことができたという。「飲料はそもそも食品の中でも廃棄率の低いアイテムではあるが、これにより廃棄を限りなくゼロに近づけることができる」という面もアピールする。
これまで、黒豆茶やとうもろこし茶などの主力のペットボトル飲料は、500ミリリットルを100円(税込)で販売してきた。アルミ缶は「ペットボトルに比べるとまだまだ選べるサイズなどが限られる」ことから、375ミリリットル缶を90円で販売する。炭酸飲料は280ミリリットルで150〜190円。アルミ缶になり、中身が見えないことで「食品としての魅力はやや表現しづらくなる。パッケージにイラストを入れることなどによって、魅力を感じてもらえるように工夫した」。
アルミ缶への切り替えを発表した22日の記者会見では、同時に昨年から行っている「水プロジェクト」についても紹介。店内に給水所を設けるとともに、自治体などとも連携して給水ポイントをマップにし、アプリで発信している。「無印良品」の詰め替えボトル(190円)や、持参の水筒などに詰めることができる。「当初は、一部デベロッパーから『施設内で水が売れなくなるので給水をやめてほしい』と言われることもあったが、お客さまと一緒に環境や健康について考えていくきっかけを作りたかった」と狙いを話す。現在、国内270店に給水所を設けているが、2021年末までにこれを全店規模に広める考え。外部企業や自治体とも組んで、同取り組みの拡大を目指す。