帝人と伊藤忠商事、エンジニアリング大手の日揮はこのほど、帝人の持つポリエステルのケミカルリサイクル技術の国内外のライセンス展開の共同協議書を締結した。帝人は2002年に世界で初めて、廃棄された繊維製品からポリエステル繊維を再生するケミカルリサイクル事業をスタートするなど、世界的にも先進的な技術を持つ。世界に幅広いネットワークを持つ伊藤忠、プラント製造に強い日揮と組むことで、国内外でケミカルリサイクル技術の拡大を目指す。「共同協議書という形なので、実際にどう展開するのかなど、具体的な取り決めはこれから。ただ、こうした取り組みに賛同いただける企業を募りたかった」という。
帝人を筆頭に日本の大手繊維メーカーはかつて、中国や韓国、ASEANなどで合繊工場の技術許与を行ってきた過去があるが、今回の共同協議の狙いは、ケミカルリサイクル技術の普及・拡大にある。日揮は世界中でさまざまなプラントの建設を行なう一方、伊藤忠は自社でリサイクルポリエステル「レニュー」を展開するほか、再生ナイロン繊維「エコニール」を展開するのイタリアのアクアフィルとも提携し、ケミカルリサイクルのための世界規模での回収・生産システムの構築にも動いている。廃棄プラスチックによる海洋汚染やアパレル製品の大量廃棄が世界的な問題になる中で、3社が組むことで、コスト効率に優れ、かつ世界規模でスケール感のあるケミカルリサイクルシステムの確立に乗り出す。