東佳苗によるウィメンズブランド「ルルムウ(RURUMU)」は4月20日、東京・芝公園の東京タワーメディアセンターで初のファッションショーを行った。東は「縷縷夢兎(るるむう)」の名義で、アイドルやアーティストへ衣装を手掛けるデザイナーで、アートディレクターやスタイリスト、空間演出家、映画監督としてもマルチに活動している。「縷縷夢兎」では、一点モノの手編みのニットを得意とするが、2019年春夏には量産可能な商品を加えた、ローマ字表記の新たなブランド「ルルムウ(RURUMU)」を開始した。
“前向きに自己愛を高める”
現代の魔女性を肯定
ショーデビューとなった21-22年秋冬コレクションのテーマは「Solitary Witches(孤高の魔女)」。その“魔女”とは、ホウキに乗って空を飛ぶファンタジーの世界の魔女や、魔女狩りされていた歴史上の魔女ではなく、パワーストーンやタロットカードなどを使って、自己愛を高める現代の“ミレニアルウィッチ”を題材にしたという。東は「発信したかったのは魔女性を通した自己愛。もともと魔女はファンタジーやホラーのイメージが強かったが、現代でもセルフケアとしておまじないを使う、“現代魔女”が存在することを知った。コレクションでは現在の魔女性を肯定して、前向きに自身を高めていくというメッセージを込めた」と話す。
ランウエイの真ん中には、草木や花、電飾が飾られたオブジェが置かれ、2つの頭があるウサギのぬいぐるみや、水晶が並べられている。ショーの冒頭では、クロッシェ編みのモチーフが特徴的な白いドレスを着た1人の少女がオブジェの真ん中に座り、12人のモデルたちが星型に照らされたライトをなぞるように歩く。これは、新しい魔女を受け入れる儀式“サバト”から着想した演出だ。
海外にいる“孤高の魔女”にも
コレクションを届けたい
ウエアは、いわゆる魔女のダークでゴシックなイメージを取り入れつつ、ブランドらしいパステルカラーなどの甘い要素をミックス。手編みのニットドレスもあれば、チュールドレス、ライダースジャケットもが登場した。使用したモチーフは、古代ヨーロッパで使われていたルーン文字を用いた古い魔女のおまじない記号、オリジナルの紋章を取り入れている。
今回ショーを行った理由は海外進出への布石だという。「これまで日本の女の子に向けてデザインしてきたが、もともと海外から強く影響を受けてきた。海外でニッチな世界観を好み、孤独を感じている“孤高の魔女”のような人たちにも『ルルムウ』を届けたいという思いがあった」と東は説明した。また海外での発表については「心が通じ合う人に国籍は関係ないと思う。パリやロンドンなど都市にこだわりはないが、海外の人に徐々に知ってもらえるような取り組みを続けていきたい」と抱負を語った。