ここ数年、ラグジュアリーやファッションブランドとアートのコラボレーションが続々と登場している。「ディオール(DIOR)」とダニエル・アーシャム(Daniel Arsham)、「コーチ(COACH)」とジャン=ミシェル・バスキア(Jean Michel Basquiat)、「サカイ(SACAI)」とジャクソン・ポロック(Jackson Pollock)などが挙げられるが、「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」は積極的にアーティストとコラボをしてきた代表格だ。現在、東京・原宿で開催されているエキシビション「ルイ・ヴィトン&」では、アーカイブ作品をはじめ、リチャード・プリンス(Richard Prince)や村上隆、草間弥生など多くのアーティストとのコラボ作品が展示されている。
その時流を捉えた企業が今年3月に設立された。寺田倉庫、三菱地所、TSIホールディングス、東急の合弁会社であるマグアス(MAGUS)は、現代アートに特化したプラットフォームで、ビジネスにアートを活用するコンサルティングやセミナーなどを行う企業だ。日本でも“アート”がキーワードになりつつあるが、アートの市場規模は欧米に比べると微々たるものだ。マグアスは“アートで日本をもう少し素敵に”を企業理念に、アートシーンのプラットフォーマーとして新しいコミュニティーやアート経済圏を作ることを目指している。同社は、企業および個人に向けて、アートを戦略として活用する企画提案や運営、アーティストの世界進出サポート、世界のアート関連の情報発信、アート入門スクール運営などを行う。
マグアスを率いるのは、朝日新聞出版やコンデナスト・ジャパンなど数々の出版社で営業としてメディアビジネスを支えてきた上坂真人氏。上坂代表は、2011年にビジュアルコミュニケーション企業のアマナに入社し、アートプロジェクト「IMA」を立ち上げ、海外メディアと連携した活動を行ってきた。彼は、「25年には『自分のご褒美はアート』という会話や企業の会議室にアートが飾ってあるのが普通になってほしい。この事業自体をアートだと思っている」と述べている。
“アートがビジネスになり、個人の喜びになる”。錚々たる企業が参画するマグアスがアート後進国の日本をどのように変えるか注目だ。