4都府県で3度目の緊急事態宣言が適用された25日、都内の百貨店やショッピンセンター(SC)、有力小売店は政府や都からの要請を受けて、休業や大幅な縮小営業に入った。昨年春の緊急事態宣言では大半の店舗が休業したが、今回は休業する店、営業する店に分かれる。繁華街はどんな様子なのか。銀座や新宿などで宣言初日の動きを追った。
【新宿 10時30分】ビックロはいたって通常モード
10時に開店したビックロ内の「ユニクロ(UNIQLO)」には、通常通り客が吸い込まれていく。店の周辺には大きなカメラを構えたテレビの情報番組のクルーもちらほら。「ジーユー(GU)」の紙袋を持って出てきた20代の女性は、「仕事帰りに通りかかったので寄った。連休中に着る靴と服を買った」とコメント。「『ユニクロ』のECで取り寄せた商品を店頭に取りに来た」という20代の男性も。いたって通常モードだ。ビックロは当面、10〜20時の営業となる。
【銀座 11時00分】松屋の朝一番の客「営業してくれて良かった」
松屋銀座本店が11時にオープン。営業するのは1階の服飾雑貨(帽子、傘、ソックス、ハンカチ、サングラスなど)と化粧品、地下1〜2階の食品のみ。松屋の大高壽美代副店長は「生活必需品の線引きでいろいろ議論や調整もあったが、1年前の休業時にお客さまからのご要望が多かった化粧品を取引先の協力で開けることができた」と話す。午前中にも関わらず、特に食品売り場は賑わいを見せていた。パンを買いに来た60代の女性は「近所なので松屋で毎週買い物する。閉まると困る。営業してくれて良かった」と話した。
【新宿 11時00分】伊勢丹の女性客「家の近所では買えない、手土産やいいお肉などを買う」
伊勢丹新宿本店が開店。ただし、本館の地下1階食品フロア、地下2階ビューティアポセカリー、1、2階の化粧品、7階のレストラン街のみの営業(11〜19時)だ。本館1階は、化粧品売り場に近い西側の1箇所のみを出入口としていたが、11時の開店直前には入店待ちの行列が新宿通りまで伸びた。列に並んでいた女性に話を聞くと、「デパ地下目当てで来た。家の近所では買えない、手土産やいいお肉などを買う予定」。同じく列に並んでいたカップルも「いつも買っているパスタソースを買いに来た」と食品目的。11時のオープン後すぐに地下1階食品フロアはにぎわい、箱詰めの菓子類をまとめ買いする客も。化粧品フロアのカウンターにもチラホラと客の姿が。
【銀座 11時40分】ラグジュアリーブランドの旗艦店 営業する店と休業する店の違い
1年前の緊急事態宣言の際は、銀座のファッション関連の店舗はほぼ一斉に閉まっていたが、今回は様相が違う。政府や都が休業要請のガイドラインを発表したことで、百貨店やSCが大幅な縮小営業や休業を強いられる中、独立した小売店舗は時短しながらも営業継続している。
高級ブランドを集積したギンザシックスの目玉であり、銀座通りに面した「ディオール(DIOR)」「セリーヌ(CELINE)」「サンローラン(SAINT LAURENT)」「ヴァンクリーフ&アーペル(VAN CLEEF & ARPELS)」「ヴァレンティノ(VALENTINO)」「フェンディ(FENDI )」の旗艦店は全て休業。同じく銀座通りの松屋に旗艦店を構える「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」も閉まっていた。一方で同じ路面の旗艦店ながら松屋の「ルイ・ヴィトン」の周辺にある「シャネル(CHANEL)」「ブルガリ(BVLGARI)」、晴海通りの「グッチ(GUCCI)」「ボッテガヴェネタ(BOTTEGA VENETA)」、並木通りに開店したばかりの「ルイ・ヴィトン」などは営業していた。消費者から見れば同じ高級ブランドの路面旗艦店でも、百貨店やSCなどいわゆる館(やかた)のテナントであるか否かで判断が分かれた。晴海通りの「エルメス(HERMES)」は休業していた。
ラグジュアリーブランドは営業していても事前予約の体裁を取っている店が多かったが、店内が混雑していなければ入店は認められるようだ。
【新宿 12時00分】ビームスジャパン、ルミネ、高島屋新宿店
新宿南口方向に足を伸ばすと、「ビームス ジャパン(BEAMS JAPAN)」は12〜19時の時短営業だった。「ギャップ(GAP)」などが入る商業施設フラッグスは休業。ルミネも休業だが、「成城石井」「カルディ(KALDI)」、タピオカミルクティーの「ジ アレイ(THE ALLEY)」などが入るルミネ1地下2階は営業していた。高島屋新宿店も伊勢丹と同じく、食品売り場のある地下1階と化粧品の1階に絞っての営業。ここもデパ地下はにぎわいムード。1階の婦人洋品売り場も開いており、“母の日”のギフトに適したエプロンなどを集積したコーナーも。
【銀座 12時20分】同じSC内でもユニクロは営業、セレクトショップは休業
外堀通りのSC、マロニエゲート銀座では衣料品のテナントであっても営業の店と休業の店に分かれた。昨年6月に開店した旗艦店「ユニクロ トーキョー」や「バナナリパブリック(BANANA REPUBLIC)」は営業するが、「ユナイテッドアローズ(UNITED ARROWS)」「ジャーナルスタンダード レサージュ(JOURNAL STANDARD L'ESSAGE)」「ローズバッド(ROSEBAD)」などセレクトショップは休業だった。休業要請から除外される「生活必需品」としての商業施設側の判断なのか、それともテナント側の方針なのか。
【丸の内 13時00分】仲通りはブランドショップの休業目立つ
メインストリートの仲通りでは、きのう24日から密集・密閉・密接をさけたイベント「丸の内ストリートパーク」が開催されている。仲通りに天然の芝生を敷き詰め、キッチンカーと客席を用意して、屋外に密を回避した空間を作る。イベント自体は13時前後の時点では混雑もせずに適度な賑わいで、家族連れやカップルが食事をしながらくつろいでいた。ただ仲通りに面したファッションの路面店は「イセタンサローネ」「トゥモローランド」「エルメス」「ブルックスブラザーズ」「ゴールドウイン」「ポール・スミス」「アンドワンダー」など半数以上が閉まっていた。丸ビルや新丸ビルの商業エリアも休業していた。20代の男性は「(小さな店が並ぶ)丸の内なら営業していると思っていたけど、けっこう休業していて残念」と話した。
【二子玉川 15時30分】30代の夫婦「日用品が一度にそろう場所がなくなると困る」
玉川高島屋S・Cと二子玉川ライズが食料品とレストランフロア以外を当面の間休業。25日は午後から小雨が降り始めたものの街の人通りは比較的多く、ベビーカーを引いた家族連れなども多く見られた。商業施設の休業で、人の流れは営業中の「蔦屋家電」などに向いていた。梶が谷(川崎市)在住の30代の子連れの夫婦は、主に子供服や日用品の購入を目的に、玉川高島屋S・Cを週末に訪れる。「普段は(玉川高島屋S・Cの)屋上広場で子供を遊ばせつつ買い物ができるから便利だった。(休業で)子どものストレスも溜まるし、日用品が一度にそろう場所がなくなるので困る」とこの夫婦の男性。また自由が丘から訪れた70代の夫婦は、週末には必ず玉川高島屋S・C本館地下1階食料品フロアを訪れ、惣菜などを購入している。「百貨店は食料品フロアだけでも開いてくれてありがたい」と話した。