「社会問題を解決する」をコンセプトとし、工場に眠っているサンプル生地やB反を活用した服作りを進めているファッションブランドの「ココ(COXCO)」は、商品化されにくい真円以外のアコヤ真珠を使ったアクセサリーを企画し、自社ECサイトなどで販売を始めた。「真円の真珠ネックレスを1本作るにはバケツ一杯分の真珠が必要とも言われる。真珠の国内生産量が減少している中で、これまではじかれてしまった規格外の真珠に光を当てることで、今ある資源を大切にできる」とココの西側愛弓社長は話す。
国内でのアコヤ真珠の養殖は、バブル景気の終わりや1990年代半ばに問題になった母貝の感染症などを経て、年々減少してきた。2010年代以降の年間生産量は約20トン(1995年は63トン)と、横ばいで推移※。「消費者の方に、そういった真珠養殖の背景と共に、『規格に沿った真円だけが美しいわけではない』という価値観を伝え、ファッションを通して世の中に多様性を広げていきたい」と西側社長。こうした思いから、真珠の生産量日本一である愛媛県にある宇和海真珠に自らアプローチし、企画にこぎつけたという。
※農林水産統計より
商品は、リング1型2サイズ(各1万8480円=税込)と、ピアス1型(2万350円)。購入者には、商品の生産過程や似顔絵付きの生産者紹介などを盛り込んだ小冊子を同封する。
併せて、今春夏も使われずに眠っていたサンプル生地やB反を使ったワンピースとシャツの製作を継続。同じ生地がそろうわけではないため、1点1点色合いやシルエットが微妙に異なるのが特徴。首元でクロスしたドローコードがポイントのワンピースは2万5300円、ユニセックスで着られるカラーレスシャツは2万900円。生地調達は、繊維商社のヤギと、ヤギのグループ会社のイチメンと組んで行っている。