ジーンズブランド「レッドカード(RED CARD)」などをプロデュースするドクターデニムホンザワ(東京都、本澤裕治社長)は、このほど東京・秋葉原に初のショールームをオープンした。雑居ビルの2フロアを借りた約130平方メートルの空間に、「32年のデニム人生で買いためたサンプル用ジーンズなど約4トン分」(本澤社長)を並べ、アポイント制で運営している。
本澤社長は、「恵比寿のオフィスも継続するが、そちらは約50平方メートルで、これらのサンプルを見せることができなかった。これまでは膨大なストックから、クライアントごとに必要な品をピックアップして持参していた」と話す。なぜ秋葉原なのか?と聞くと、「約10年間勤めたエドウインの本社が当時は日暮里にあり、またジーンズの聖地とも言える上野もアクセス圏だ。コロナ前に多かった外国からのゲストにとって秋葉原はメジャーな場所で、同じく人気の浅草も近い」と答えた。
なぜ今ショールームを?との問いには、「作らなくてはと思っていたが、忙しくて実現できなかった。コロナの影響で2020年は一度も海外出張に行けなかった。長いキャリアの中で、こんなことは初めて。今年もきっと無理だろう。ただし、時間はできた。そこで一念発起した。郊外に倉庫を借りることも考えたが、それでは人が来ない。このビルは築55年と古いが、僕自身も今年55歳。そこにも縁を感じた。それにサンプルの中にはビンテージもあるから、それらがなじむ雰囲気も欲しかった」と答えた。
本澤社長はさらに、「デニムビジネスはコロナ禍で半分ほどにシュリンクしてしまった印象だ。だからこそ、“ジーンズを作る意味”を再定義しなくてはいけない。そのためにショールームが必要だった。実際ここに来て、これだけの物量に囲まれることで、“そうだ、自分はジーンズを作っているんだ!”と初心に戻り、前向きになるゲストも多い。それを見て僕自身もポジティブになり、やはりショールームを作ってよかったと感じている」と続けた。