「ケンゾー(KENZO)」を手掛けるフェリペ・オリヴェイラ・バティスタ(Felipe Oliveira Baptista)=クリエイティブ・ディレクターは6月30日の契約終了をもって退任する。2020-21年秋冬コレクションでのデビュー以来、ノマドなムードやユーティリティーを取り入れたコレクションでブランドを刷新したものの、2年間という短い任期となった。後任は追って発表される予定だが、同ブランドは新たな方向性を探求すると見られる。
オリヴェイラ・バティスタは声明の中で、「この素晴らしいメゾンと創業者である高田賢三氏のレガシーに貢献できたことを、光栄に思っている。チームの才能と献身に感謝している」とコメント。またシルヴィ・コラン(Sylvie Colin)最高経営責任者は、「彼の才能、クリエイティビティー、そしてメゾンのアーティスティックな発展への貢献」に対して感謝の意を表した。
ポルトガル出身のオリヴェイラ・バティスタは、ロンドンのキングストン大学で学んだ。イエール国際フェスティバルのファッション部門賞を受賞した翌年の03年、自身の名を冠したブランドをパートナーのセヴェリーヌ・オリヴェイラ・バティスタ(Severine Oliveira Baptista)と共に設立(14年に休止)。10年からは8年間、「ラコステ(LACOSTE)」のクリエイティブ・ディレクターとして活躍した後、ウンベルト・レオン(Humberto Leon)とキャロル・リム(Carol Lim)の後任として「ケンゾー」のクリエイティブ・ディレクターに就任した。就任後は高田氏とも実際に会い、彼と話したことやアーカイブからヒントを得てデビューコレクションを制作。3月には、20年10月に他界した高田氏にオマージュを捧げる色柄に富んだ21-22年秋冬コレクションを発表した。
4月21日には、「ケンゾー」と同じLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON)傘下の「ベルルッティ(BERLUTI)」もブランド再編に伴い、クリス・ヴァン・アッシュ(Kris Van Assche)=アーティスティック・ディレクターの退任を発表。ブランドの在り方を見直す流れは、今後も続きそうだ。