「ヴォーグ(VOGUE)」などを発行する米コンデナスト(CONDENAST)によるビューティ雑誌「アルーア(ALLURE)」は、4月22日の「アースデー(EARTH DAY)」に際して、パッケージのサステナビリティをめぐる用語の使用について再考した。
多くのプラスチックの容器がリサイクル可能ではあるものの、実際9%ほどしかリサイクルされていないという報告をもとに、“リサイクルが可能なプラスチック”という言葉の使用をやめる。ほかにも“地球に優しい”“環境に優しい”“エコフレンドリー”“生分解性”といった表現も雑誌内での使用を禁止にする。生分解性は微生物の働きによって製品や素材が無機物まで分解されることを指すが、この働きに時間の制限を明記していないことやほとんどのゴミ処理に使われる埋立地には分解に要する十分な酸素が足りていないと指摘する。
“堆肥化が可能”という表現は、一般的なコンポスターで約90日間のうちに分解できるものとその過程で土壌の有毒性がゼロになる製品のみに適用する。環境に優しいことにしばしば用いられる“グリーン”という表現も、文字通り製品の色味を表す時のみに使用する。まずはパッケージにまつわる言葉から再考し、段階的に成分に関する用語も見直していくという。
ジェニー・バイリー(Jenni Bailly)「アルーア」エグゼクティブ・ビューティ・ディレクターは、「過去数年間にわれわれがみたサステナビリティについての調査の中で、多くの言葉や表現がそれほどの意味を持たず使われていると感じた。耳触りの良い“バスワード(流行語)”が多用されている。現実とは違って、よりドラマチックな印象を与えているのではないか。こうした言葉の使用について立場を明確にしなければいけない。より多くの消費者が理解を深め、用語について考え始めることを願っている。購買活動は今や投票と同じ働きを持つ」と語った。
2017年には同媒体は、「加齢はいたって自然なことにもかかわらず、良くない・抗うべきものだとする考えを助長している」という理由をもとに、“アンチエイジング”という用語の使用を廃止した。「当時の編集長とともに、加齢についての考えを変えるには、まず年をとるということについて話すときの言葉を変えるべきだと話し合った。今、サステナビリティも、考え方の視点を変えるべき地点にある。まずは言葉や表現を考え直したい」と述べた。
「アルーア」はストア・グループ(STOUR GROUP)とライセンス契約し、21年秋、実店舗をオープンする。ニューヨーク市マンハッタンのラファイエット・ストリートに約260平方メートルを有する2階建の店舗を構え、300ほどのビューティやヘアケア、スキンケア製品をそろえる予定だ。