ファッション

コロナショックで実現した“プライス・パフォーマンス”は、コスパに代わる新たな価値だ

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 コロナショックは時計業界にも大きな影を落とし、2020年に発表・発売された新作時計の数は目減りした。21年も4月現在、世界最大の新作時計発表の場である「ウオッチ&ワンダー ジュネーブ(WATCHES & WONDERS GENEVA)」(旧「S.I.H.H.」、以下「W&W」)を含め、発表本数は減っている。コロナ前の2/3程度まで減少した印象だ。

 それでは質はどうか?――21年は、“これは良い!”と手放しで評価できる傑作がそろった。この10年間で、これほど充実した年はない。特筆すべきは、価格帯を問わない点だ。時計&宝飾の最高峰の技術を凝縮したアートとも言える複雑時計から、高級時計としてはエントリークラスの30万円前後のモデルまで一律にレベルアップ。プライスゾーンに関係なく、価格以上の魅力を持つモデルが多数発表された。

 各ブランドの共通点は、かつてないほど真面目かつ丁寧に作られていることだ。商品のコンセプトとデザイン、中身のメカニズム、文字盤やケース、ブレスレット、ストラップの素材やディテールのこだわりに、“ここまで?”と感心させられた。研磨などの仕上げにも手抜きがない。“なぜこのブランドが、こんなモデルを……?”と首をかしげたくなる商品も見当たらず、ブランドの世界観や歴史にリンクし、同時にファンが期待する商品が発表された。

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