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趣味さえ環境の影響を受けていると聞いて エディターズレター(2021年4月30日配信分)

※この記事は2021年04月30日に配信した、メールマガジン「エディターズレター(Editors' Letter)」のバックナンバーです。最新のレターを受け取るにはこちらから

趣味さえ環境の影響を受けていると聞いて

 突然ですが、皆さんの趣味はなんでしょうか?

 私の趣味は、スポーツクラブでのステップ&エアロビ、自転車、それに第二次世界大戦にまつわる書籍を読むこと、でしょうか?ヨットやチェロ、華道なんかが趣味だったらカッコいいな~、と思いますが、残念ながら生まれて43年間、それらに出合うチャンスはありませんでした。反対にハマった趣味は、なぜハマったんでしょう?自転車は、横浜在住のクセに、六本木の会社まで電車以外の手段で通いたくなったから。第二次世界大戦にまつわる書籍は、メディアという「伝える仕事」に携わるようになってから、ヒトラーの演説に「伝える力」を感じたから。そしてステップ&エアロビ(つまりスタジオレッスン)は、仕事で出会うファッション&ビューティ業界人とは違う人たちに出会いたくなったから。アラ、趣味なのに、全部仕事由来のようです(苦笑)。

 と、自分で自由に決められる・決めていると思っている趣味さえ、実際は経済的もしくは文化的な「資本」の影響を受けていると説いたのは、フランスの社会学者ピエール・ブルデューの「ディスタンクシオン」(GWのお供に、いかがですか?)。フランス人らしくブルデューは、相続される経済的・文化的な資本、つまり階級的なものと趣味の関連性を考察しています。趣味さえ、幼い頃以降の環境の影響を受けているというワケです。一方日本には、「三つ子の魂百まで」なんて言葉がありますね。いずれにせよ、幼い頃から触れているモノは、生涯に渡り愛し続ける可能性が高い。それは、かなり確実性の高い事実なのでしょう。

 だから、この記事にある通り、「ファッション育」を提供したいと思うのです。「ディスタンクシオン」の言葉を借りれば、ファッションやビューティ、そんな産業に携わる人たちに囲まれて育つ子どもは、趣味や教養などの文化能力を相続。「文化資本」を蓄積して、いつしかそれを経済資本に変換します。簡単にいえば、「ファッション育」を受けた子どもは業界に憧れ、自ら調べ、モチベーションが高い状態で業界にダイブ。結果、業界に大いに貢献する可能性が高いのです。業界で働かなくても、生涯に渡って良いお客様になってくれる可能性も高そうですね。

中高生に「ファッション育」 クリエイター事務所の代表が子どもに「好き」な世界を見せるため奔走

 なんてコトを考えた私は、この記事にあるFFIの子どもたちによる「中高生のプレインターンシップ」を快諾し、4月の中頃、会社にお招きして私たちの仕事について語らせていただきました。よくよく考えるとWWDJAPANは正直、子どもたちにはかなり縁遠い存在です。長年生業としてきたB to Bの専門紙(業界紙)なんて、存在理由を理解することさえ難しいでしょう。1時間かけて「専門紙とは?」「専門紙発祥のメディアのデジタルサイトとは?」そして「今後のメディアは?」なんてお話をさせていただき、この業界には、モデルやデザイナー以外に、専門メディアも必要なんだと理解していただけました(多分w)。「中高生のプレインターンシップ」終了後にいただいた感想には、「もっと知りたい」「また会いたい」「色々学びたい」など、嬉しい言葉がたくさんありました。ファッションやビューティにまつわる「文化資本」の一部、その形成の1つの契機になれば、こんなに嬉しいことはありません。

 皆さんも、若い世代のファッションやビューティにまつわる「文化資本」形成に一役買ってみませんか?ぜひFFIの活動を応援して欲しいのです。ご興味ある方は、私までご連絡ください。秋山代表との架け橋になれたらと思います。

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