コーセーの2021年3月期決算は、中国での販売が好調に推移したものの、中国以外のアジア地域をはじめ日本や欧米では新型コロナウイルス感染症拡大の影響を大きく受け、連結売上高が前年比14.7%減の2793億円、営業利益が同67.0%減の132億円、経常利益が同54.2%減の187億円、純利益が同55.1%減の119億円だった。
事業別では、化粧品事業は「コスメデコルテ(DECORTE)」が中国の全チャネルで好調に推移し、日本では「コスメデコルテ」の新エイジングライン“リフディメンション”や「ONE BY KOSE」、コーセーマルホファーマの「カルテHD」が好調に推移したが、「アルビオン(ALBION)」「雪肌精(SEKKISEI)」など主力ブランドが総じてマイナス成長となった。その結果、売上高は同13.3%減の2184億円、営業利益は同58.2%減の186億円だった。
コスメタリー事業は、コロナ禍で需要が高まっているフィックスミスト“メイク キープ ミスト”や口紅コートの“リップ ジェルマジック”、ヘアケアブランド「スティーブン ノル ニューヨーク(STEPHEN KNOLL NEW YORK)」が売り上げに貢献したほか、コーセーコスメポートが展開するエイジングケアブランド「グレイスワン(GRACE ONE)」やハンドクリームの「コエンリッチ(COENRICH)」が好調に推移。一方で、外出自粛の影響により、クレンジングやヘアケアが苦戦し、売上高は同18.7%減の584億円、営業損益が6300万円の赤字(前年同期は2億円の黒字)だった。
地域別でみると、日本はメゾンコーセーで展開するECが好調に推移したが、来店客数の減少に加えインバウンド需要が激減したことなどから売上高が同24.8%減の1674億円だった。北米は「タルト(TARTE)」のECが好調だったが、再開した都心部の店舗が苦戦するなどして同26.4%減の264億円だった。一方で、アジアは中国のECと百貨店の売り上げ、トラベルリテールが売り上げをけん引し、同27.6%増の821億円と増収となった。
今期は、決算期をこれまでの3月末から12月末に変更し、4〜12月の変則決算となる。新型コロナによる経済への影響が続くものの日本市場の穏やかな回復や中国市場の成長を見込むほか、「アフターコロナに向けてデジタル化とグローバル化を加速する」(小林一俊コーセー社長)ことで、売上高が調整後前期比11.5%増の2380億円、営業利益が同20.8%増の200億円、経常利益が同7.4%増の205億円、純利益が同1.5%増の142億円を計画する。